ECサイトの客単価を高める!顧客育成のためのデータ分析

今回は、ECサイトの客単価を高めるための分析手法を解説します。
客単価とは?
客単価とは、顧客1人あたりの購入金額のことです。ECサイトの売上は顧客数と客単価の掛け算で成り立っています。
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ECサイトに限らず、”売上が落ちてきている”あるいは”売上が思ったように上がらない”といった場合、顧客数か客単価のいずれか、あるいはその両方に課題があります。自社の課題は顧客数にあるのか、客単価にあるのかを知るためにはそれぞれの数値を月次週次で確認したり、前年の同月の値と比較するなどしましょう。
この記事では、客単価に課題がある場合のデータ分析事例を解説します。
客単価を高める方法は2つ
客単価を高める方法は大きく分けて2つあります。
1つは「1回あたりの購入金額を高める」こと。もう1つは「1人あたりの購入回数を増やす」ことです。
「1回あたりの購入金額を高める」方法には、商品の併売を促したり、より高価な商品の購入を促したりする方法があります。一方、「1人あたりの購入回数を増やす」というのは、リピートを促すということです。
今回は、効果的にリピートを促すことで客単価を高めるためのデータ分析を、具体的な事例をもとに解説していきます。
客単価を高めるデータ分析の事例
ここからは弊社クライアントの事例をもとに、客単価を高める施策を立案する方法を解説します。
この事例では、商品名などは伏せているほか、実態から大きく外れない範囲で数値データを加工していますが、実際に近いケースを扱うことで、この記事をお読みのみなさんが現実感を持ちやすく、現場のニーズを当てはめやすいものとなるよう構成しています。
Case Study
化粧品会社A社のECサイトの客単価を高めるための効果的な施策を検討していきましょう。
A社ECサイトの売上規模は年間約1億円、会員数は約8000人(調査時点。売上の3分の2程度を会員が占める)、1人あたりの1回当り平均購入金額は約1万円。
CPM分析という手法を使って顧客分析を行います。CPM分析とは、購入回数、サイト利用期間、購入金額に応じて顧客を10のグループに分類し、購買傾向などを分析する手法です。CPM分析の詳しい手順は「CPM分析とは?顧客分析でECサイトのリピート率を高める!」で解説しています。
まず以下のような購入回数、サイト利用期間、購入金額に応じて、顧客を5つのグループに分類します。
- 初回客(1回しか購入していない顧客)
→ 購入回数が1回 - よちよち客(リピーターでサイトの利用期間は短い顧客)
→ 購入回数が2回以上、初回購入から最終購入日までの差が90日未満 - コツコツ客(リピーターでサイトの利用期間も長いが、購入金額が小さい顧客)
→ 購入回数が2回以上、初回購入から最終購入日までの差が90日以上、購入金額が7千円未満(基準となる購入金額は、平均購入金額の70%に設定するのが一般的です) - 流行客(リピーターでサイトの利用期間も長く、購入金額も大きい顧客)
→ 購入回数が2回以上、初回購入から最終購入日までの差が90日以上210日未満、購入金額が7千円以上 - 優良客(リピーターでサイトの利用期間が流行客よりもさらに長く、購入金額も大きい顧客)
→ 購入回数が2回以上、初回購入から最終購入日までの差が210日以上、購入金額が7千円以上
さらに、以下の条件を加えて、10のグループに分類します。
- 現役(現在もサイトを利用している顧客)
→ 最終購入日から今日までの期間が240日未満 - 離脱(現在はサイトを利用していない顧客)
→ 最終購入日から今日までの期間が240日以上
上記の分類によって、A社ECサイトの顧客を集計したところ以下のようになりました。

A社のECサイトでは、初回客が83%を占めており、リピーターの割合は全体の17%しかいません。一般的にECサイトのリピート率は30%程度と言われているため、このサイトはリピーターが少ないことが分かります。
客単価を上げていくためには、初回客をよちよち客に、よちよち客をコツコツ客に育成していくところから行っていく必要があります。
初回客をよちよち客に育成する場合の例は「CPM分析とは?顧客分析でECサイトのリピート率を高める!」で解説しているので、今回は、よちよち客をコツコツ客に育成する施策を立案する手順を解説していきます。
よちよち客をコツコツ客に育成する
以下のグラフは、A社の主力商品である商品カテゴリGを購入したコツコツ客が、次の購入時に買った商品について集計したものです。(商品カテゴリGを購入した時点ではよちよち客だった顧客も含む)

「商品カテゴリG」を購入したコツコツ客の多くが、「商品カテゴリG」「商品カテゴリQ」「商品カテゴリB」を購入しています。
そこで、「商品カテゴリG」を購入した初回客には、”メルマガで「商品カテゴリG」「商品カテゴリQ」「商品カテゴリB」の割引クーポンを配る”あるいは、”「商品カテゴリG」を購入した現役初回客には「商品カテゴリQ」「商品カテゴリB」の無料サンプルを自宅に送付する”などの施策が効果的だと考えられます。
さらに下のグラフは、コツコツ客が「商品カテゴリG」を購入したあと、次に「商品カテゴリG」「商品カテゴリQ」「商品カテゴリB」を購入するまでの期間を集計したグラフです。

このグラフを見ると、「3ヶ月以上半年以内に購入する人」が多く、次いで「半年以上1年以内に購入する人」が多いことが分かります。
これらの分析結果から、よちよち客へのクーポン配布やサンプルの送付を行う時期は3ヶ月後と半年後あたりに行うのが効果的だと考えられます。
- 課題:初回客の割合が高く、リピーターが少ない
- 施策1:「商品カテゴリG」を購入したよちよち客へ、購入後3ヶ月後にメールで「商品カテゴリQ」「商品カテゴリB」の割引クーポンを配信する
- 施策2:「商品カテゴリG」を購入したよちよち客へ、半年後に「商品カテゴリG」「商品カテゴリQ」「商品カテゴリB」の無料サンプルを送付する
データに基づく顧客育成で客単価を高める
CPM分析を活用することで、顧客のグループごとの傾向を掴むことができるため、効果的な顧客育成を実現することができます。
この記事で行ったようなCPM分析はエクセルなどで集計して行うこともできますが、データ量が多い場合は専用のツーツを使って行うのがおすすめです。弊社では、CPM分析をはじめとしたECサイトに必要なデータ分析を簡単に実践できる「EC-Dashboard」を提供しています。
(今回記事内でご紹介した表やグラフも、EC-Dashboardを使って作成しています。)
EC事業に欠かせない
データマーケティングの考え方
