併売とは?データ分析をもとに購入単価を高める方法を解説
この記事では、弊社が実際にコンサルティングした事例をもとに、併売を促して購入単価を高めるデータ分析のやり方を解説します。
目次
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併売とは?
併売とは、複数の商品を合わせて販売することです。
マーケティングにおいては、複数の商品が合わせて売れることを指す場合も多いです。そのため、”併売率”といった場合には全体の購入件数に対する、1度に複数の商品が購入されている件数の割合を表すことが多いです。
雑貨ECサイトの事例 収益性の悪い店舗の問題点を分析する
今回は「雑貨小売企業A社」のECサイトの事例をもとに、データ分析のやり方を解説します。
Case Study
雑貨小売企業A社のECサイトのデータを分析して、売上を高めるための効果的な施策を検討していきましょう。
A社ECサイトの売上規模は年間約1億円、会員数は約8000人(調査時点。売上の3分の2程度を会員が占める)。
A社のECサイトの売上は減少傾向にあるため、まずは売上が減少している原因を明確にしましょう。
“売上”は”購入件数”と”購入単価”の掛け算で構成されています。さらに”購入件数”と”購入単価”を構成する要素に分解していくと、下のような指標に分けることができます。
これらの指標の推移を確認することで、サイトの売上が下がっている原因をより明確にすることできます。
下の図は各指標について、A社のECサイトの当月の数値を整理したものです。
この図を見ると、売上が前月比、前年同月比ともにマイナスになっており、A社のECサイトの売上が減少傾向であることが分かります。
さらに細かく指標を確認していくと、”1回辺り購入点数”が前月比、前年同月比ともにマイナスとなっており、売上減少の要因となっていることが分かります。つまり、併売の促進が必要であることが分かります。
併売を促して購入単価を高める
併売を促進する施策も、データに基づいて検討していきましょう。併売施策を立案する際には、バスケット分析を活用します。
バスケット分析とは、顧客がどのような商品を併売しているのかを分析する手法です。買い物かご(バスケット)の中にどのような商品が一緒に入っているのかを分析することから、バスケット分析と呼ばれます。(バスケット分析の詳しい手順は「バスケット分析とは?商品分析でECサイトの客単価を高める!」で解説しています)
併売傾向を分析する
まずはA社ECサイトの購入数上位3カテゴリ「カレー皿 / パスタ皿」「丼 / ラーメン」「土瓶」について、どのような商品が併売されているのかを確認していきましょう。A社ECサイトで取り扱っている商品の種類は多岐に渡るため、商品ごとではなくカテゴリ別でのバスケット分析を行います。
下のグラフは直近の1ヶ月における「カレー皿 / パスタ皿」と併売された商品の割合です。
主に併売されているのは「カレー皿 / パスタ皿」「丼 / ラーメン」「焼き物皿 / サンマ皿」「土瓶」「箸置き」です。
バスケット分析を行うときに気をつけたい点として”人気商品の取り扱い”があります。人気の商品・カテゴリはそもそも併売される可能性が高いため、新たな併売キャンペーンなどを実施しても効果が薄くなりがちです。
「カレー皿 / パスタ皿」と併売されている「カレー皿 / パスタ皿」「丼 / ラーメン」「焼き物皿 / サンマ皿」「土瓶」「箸置き」は、いずれもA社ECサイトにおける購入数上位5カテゴリとなっているため、併売施策に活かせる結果とは言えません。
そこで次の「丼 / ラーメン」の併売カテゴリの割合を確認してみましょう。
「カレー皿 / パスタ皿」同様、人気カテゴリが上位になっていますが、「スープカップ」は売上的に上位カテゴリではありませんが、6.1%と比較的併売傾向が強いことが分かります。「丼 / ラーメン」のカテゴリから「スープカップ」への導線を強化すれば、より併売を促進できるかもしれません。
さらに「土瓶」についても併売カテゴリの割合を確認してみましょう。
「土瓶」の併売カテゴリは「土瓶」が36.7%とかなり大きな割合を占めていることが分かります。
同じカテゴリどうしは併売されやすい傾向にはありますが、土瓶は特に顕著なため併売の導線を強化することで、購入単価の向上につながりそうだと考えられます。
また、「箸」と「箸置き」も比較的併売されています。「土瓶」のカテゴリから「箸」と「箸置き」への導線の強化も効果的であることが推測できます。
効果的な併売を施策を立案する
ここまでの分析結果を踏まえると「丼 / ラーメン」の購入者には「スープカップ」の購入を促し、「土瓶」の購入者には「土瓶」「箸」「箸置き」の購入を促していくのがよさそうだと考えられます。
併売を促すには、以下のような方法が効果的です。
- 関連商品としてリンクを貼る
- カートに入れた際におすすめ商品として表示する
- セット商品として販売する
- 併売を促すクーポンを発行する
- 併売を促す無料サンプルをプレゼントする
今回は、バスケット分析を活用して下のような施策を立案しました。
- 「丼 / ラーメン」のページに「スープカップ」のリンクを貼る
- 「丼 / ラーメン」のページに「スープカップ」のリンクを貼る
- 「丼 / ラーメン」の商品をカートに入れた際、「スープカップ」をおすすめ商品として表示する
- 「丼 / ラーメン」の購入者には「スープカップ」を同時購入すると割引が適用されるクーポンを発行する
- 「丼 / ラーメン」の購入者に「スープカップ」の無料サンプルをプレゼントする
- 同様に「土瓶」の購入者には「土瓶」「箸」「箸置き」の購入を促す施策を実施する
これらの施策を実施したら、あらためて購入単価や併売の割合をチェックし、施策の効果検証も行いましょう。
バスケット分析で効果的な併売施策を実現する
バスケット分析を活用することで、顧客の併売傾向を掴むことができるため、効果的な併売施策を実現することができます。
この記事で行ったようなバスケット分析はエクセルなどで集計して行うこともできますが、データ量が多い場合は専用のツーツを使って行うのがおすすめです。弊社では、バスケット分析をはじめとしたECサイトに必要なデータ分析を簡単に実践できる「EC-Dashboard」を提供しています。
(今回記事内でご紹介した表やグラフも、EC-Dashboardを使って作成しています。)
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