ビジネスの現場では、日々膨大なデータが生まれています。しかし、「何から手をつけたらいいか分からない」「どこに何のデータがあるのか分からない」といった悩みを抱える企業も少なくありません。
そこで注目されているのが「データダッシュボード」です。
この記事では、データダッシュボードの定義や目的、導入のステップまでをわかりやすく解説します。
目次
データダッシュボードとは
データダッシュボードとは、企業内のさまざまな情報を一元管理・可視化し、リアルタイムで把握できるようにしたもののことです。
具体的には、売上や在庫・広告の効果・顧客対応履歴などのデータを、1つの画面上で管理・確認できるのが特徴です。
大きな特徴は「リアルタイム更新性」と「複数の情報源の統合」にあります。
例えばExcelで作成した表や個別のグラフは、手動で更新しなければならず、全体像を把握するためには、各資料を行き来する必要があります。
一方データダッシュボードでは、データベースやクラウドサービスと連携して数値が自動更新されるため、リアルタイムで最新情報にアクセスできます。
また、複数の指標を一度に表示できるため、それぞれの相関関係や状況の変化も一目で把握可能です。
データダッシュボードを活用する最大の目的は、意思決定の高速化にあります。
ビジネスを取り巻く環境が複雑化・変化する現代において、正確で迅速な判断を下すには、常に最新情報を把握できる環境が欠かせません。
それを叶えられるのがデータダッシュボードであり、データの可視化によって即時性のある意思決定が可能になるのです。
また、データダッシュボードは特定の部門だけで使われるものではありません。
たとえば経営層は、売上や利益、KPIの進捗を確認し、企業全体の方向性を判断するために活用します。
営業部門では、案件の進捗や見込み金額・顧客対応履歴を確認し、リソース配分の最適化に役立てます。
マーケティング部門であれば、広告効果や流入経路の分析、施策の改善に利用できるでしょう。
このように、部門ごとの目的に合わせてデータダッシュボードの情報設計を行うことが大切です。
データダッシュボードの主なメリット
データダッシュボードによって得られるメリットを5つ挙げて紹介します。

データの一元管理と可視化
まず1つ目は、データの一元管理と可視化が実現できる点です。
企業内にはさまざまな情報が存在し、異なるシステムや部署に散在しているケースも少なくありません。
データダッシュボードを使えば、これらの情報を一つの画面に集約でき、関連するデータを同時に確認できるようになります。
直感的に理解できる
2つ目は、専門的な知識がなくても、誰でも直感的に理解できる点です。
データダッシュボードは、グラフや表などを用いることで、誰が見ても重要な数値や傾向が一目でわかるように設計されています。
専門知識がなくても業務の状況を把握できるため、会社全体のデータリテラシーの底上げにもつながるでしょう。
リアルタイムでの意思決定支援
3つ目は、リアルタイムでの意思決定支援です。
今までは、手動で分析してから行動に移すという時間差がありましたが、データダッシュボードであれば数値が自動で更新されるため、現状をすぐに把握できます。
変化の兆候を見逃さず、スピーディな意思決定を実現できれば、他社に対して大きな競争優位性が生まれるでしょう。
業務効率の向上とレポート作成の時間削減
4つ目のメリットは、業務効率の向上とレポート作成の時間削減です。
Excelやスプレッドシートにデータをまとめるやり方は、毎月の集計や資料作成に多くの時間と労力がかかっていました。
データダッシュボードでは、データが自動で反映されるため、資料作成の手間がほぼ不要になります。
集計作業に費やしていた時間を分析や改善提案など、企業のコアとなる業務に回すことができるでしょう。
部門横断的なコミュニケーションがスムーズに
最後に5つ目として、部門横断的なコミュニケーションがスムーズになるというメリットが挙げられます。
部門ごとに異なるKPIや目的を持ってはいるものの、会社としての目標に向けて動くためには、共通の情報基盤が不可欠です。
データダッシュボードがあれば、営業、マーケティング、カスタマーサポート、経営層などが同じデータをもとに会話できるため、認識のズレが生まれにくくなります。
主なデータダッシュボードツール
ダッシュボードを適切に活用するためには、自社に合ったツールを選ぶことが重要です。
ここでは、代表的なデータダッシュボードツールを5つ紹介します。
Google Looker Studio
Google Looker Studio(旧Google Data Studio)は、Googleアナリティクスやスプレッドシートなどと連携できる無料のダッシュボードツールです。
Webマーケティングや小規模プロジェクトにおけるダッシュボード作成に適しており、比較的導入しやすい点が特長です。
Tableau
Tableauは視覚的に優れたダッシュボードを構築できるツールで、複雑なデータも直感的に理解できます。
大規模なデータ分析を重視する企業で広く導入されています。
Power BI
Power BIはMicrosoft製のBIツールで、ExcelやSharePointなどMicrosoft 365との親和性が高いのが特長です。
既存のMicrosoft環境を活用して、社内のデータを統合・分析できます。
MotionBoard
MotionBoardはウイングアーク1st社が提供する国産BIツールで、製造業や流通業などリアルタイム性が求められる業種での活用に強みがあります。
IoTデータや業務システムとの連携が得意で、現場向けダッシュボードとして人気があります。
Qlik Sense
Qlik Senseは、ユーザー自身が自由にデータを探索できるセルフサービス型のBIツールです。
AIによる分析支援機能も備えている点が特長で、現場でのデータ活用に役立ちます。
それぞれのツールには得意分野や連携対象の違いがあるため、導入のしやすさだけでなく、運用も視野に入れて検討しましょう。
データダッシュボード導入のステップと成功のコツ
ダッシュボードを効果的に活用するためには、目的の整理から運用の定着まで一貫して進めることが大切です。
以下では、導入を成功に導くための5つのステップを順に解説します。

ステップ1:目的とKPIの明確化
まず最初に「なぜダッシュボードを導入するのか」を明確にしましょう。
曖昧な理由ではなく、「広告施策の費用対効果をすぐに確認して意思決定に使いたい」といった具体的な目的を定めましょう。
併せて、目的に対応するKPIを設定することが重要です。
何を可視化すべきかが定まれば、必要なデータや画面設計の方向性も明確になります。
ステップ2:必要なデータの洗い出し
目的とKPIが定まったら、必要なデータを洗い出しましょう。
具体的には、どのシステムや部門に、どのようなデータが存在しているのかを把握・整理します。
この段階で、データの形式や更新頻度も併せて確認しておくと、後の連携がスムーズに進められます。
ステップ3:ツール選定と初期設計
必要なデータと要件が揃ったら、データダッシュボードツールを選定します。
無料で始められるものから、高度な分析機能を備えたものまでさまざまなツールがありますが、自社の環境や運用者のスキルレベル、将来的な拡張性も考慮して選ぶことが大切です。
ツールが決まったら、初期の画面設計やレイアウトを検討しましょう。
誰が見てもすぐに理解できる構成にすることがポイントです。
ステップ4:スモールスタートと改善
初期設計が完了しても、いきなり全社展開するのではなく、まずは一部の部門やプロジェクトで試験的に運用することがおすすめです。
限られた範囲で運用を始めることで、問題を早期に発見でき、修正・改善のサイクルを回しやすくなります。
特に現場からのフィードバックを積極的に取り入れ、より実用性の高いダッシュボードに仕上げていきましょう。
ステップ5:全社展開と教育・定着化
スモールスタートで得られた成果や知見を活かし、段階的に全社展開を進めましょう。
単にデータダッシュボードを提供するだけでなく、「なぜ使うのか」「どう活用するのか」を周知することが大切です。
マニュアル作成や研修の実施などを通じて、従業員全体としてデータを活用できる状態を整えましょう。
まとめ
データダッシュボードは、社内の情報を可視化・一元化し、意思決定のスピードと精度を高められるツールです。
導入には段階的な設計と運用定着が欠かせませんが、正しく活用できれば組織の連携や業務効率が大きく向上します。
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