ABC分析とは Excelで分析を行う方法とともに解説
目次
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ABC分析とは
ABC分析は、重要度順に管理対象をA・B・Cという3つのランクに分ける分析方法のことです。
ABC分析でランク分けを行うことで、それぞれの重要度ごとに適切な管理方法を検討することが出来るようになります。
たとえば、自社のサービスや製品を売上への貢献度が高い順でABCの3ランクに分けるとしましょう。
そうすると、売上に対する貢献度が高いAランクについては「十分な在庫を確保する」「サービスが十分に行えるように人手を確保しておく」などの対策をしておくことで、機会損失を防ぐことが出来ます。
ポイントとしては、重要度の高いAランクだけの管理方法を考えればいいというわけではなく、各ランクそれぞれで管理方法を考えることが大切です。
以下は在庫管理における例ですが、このように各ランクごとに管理方法を考えておくことで、適切な管理が出来るようになります。
また、売上構成比でABC分析を行う場合、一般的には以下のような基準でランク分けすることが多いです。
・Aランク:累積売上構成比70%~80%
・Bランク:累積売上構成比70%(あるいは80%)~90%
・Cランク:累積売上構成比90%~100%
絶対的な基準ではありませんが、特に理由がない限りは上記の基準でランクを分類するのがよいでしょう。
ただし、上記の基準に固執せず、実際のデータを見ながら時にはランクを修正することもあるので、フレキシブルに考えることも重要です。
ABC分析とパレートの法則
ABC分析は、パレートの法則がベースになっています。
パレートの法則とは、イタリアの経済学者であるヴィルフレド・パレートが発見した法則で、その内容は「経済では、全体のうちの大部分の数値は、一部が生み出している」というものです。
大部分を80%、一部を20%で表現されることも多く、別名「80:20の法則(8:2の法則)」などと呼ばれることもあります。
たとえば、会社Aは300種類もの商品を出しており、毎月1億円の売上を出しています。この場合は、1億円のうちの80%(8000万円)は、おおよそ20%の種類(60種類)が生み出しているケースが多いといったイメージです。
まとめると、「売上の80%は、20%の商品やサービス・顧客から生み出されている」ということです。
ABC分析のメリット
ABC分析を行うことのメリットとして、以下のようなものがあります。
現状の可視化
たとえば、売上についてのABC分析を行うことで、店舗ごとや商品ごとなどの売上の現状を把握することができます。
これまで勘や経験、なんとなくで把握していたことが、実際にデータに落とし込むと思っていたのと違った結果になることもありますので、まずは現状を正しく把握することが重要です。
効率的な管理
ABC分析を行うことによって、売れている商品だけでなく、死に筋商品なども分かるようになります。
Aランクの商品については常に在庫に余裕を持っておき機会損失を逃さないようにし、一方でCランクの商品については不良在庫を抱えないように多少の機会損失があったとしてもいいので在庫が切れてから仕入れるようにするなど、適切な在庫管理が可能になります。
重要度に応じて適切な管理が出来ることは、売上や利益を効率的に上げていくことにつながります。
ABC分析の注意点
ABC分析を活用する場合にも注意点があります。
一時的な売上の伸びに注意
たとえば、全期間では重要度が低い商品だとしても、有名人の口コミや雑誌で取り上げられるなどで一時的に売上が伸びるケースもあります。
ほかにも、新商品で最初だけよく売れたなどで分析結果が変わってくることもあります。
ランクがCだから常に売れてから仕入れればいいという訳ではないので、このような一時的な売上の伸びなどには注意しましょう。
季節変動にも注意
季節によっても、売れやすい商品は変わってきます。
集計の期間によっては季節の影響でランクがCになっていたけれども、これから先の数ヶ月はランクAになり得る商品が出てくることもあります。
そのため、一度分析したら終わりではなく、季節や一過性の売上増加などには注意しながら、分析結果を活用していくことが大切です。
多角的な視点から考える
たとえば売上高でABCのランク分けをしたときに、売上高が高い商品だからといって、利益率が高い商品だとは限りません。
売上高が高い商品を売っていくことが、必ずしも効率的に利益をあげていくということに直結はしないので、多角的な視点で商品の管理を行っていくことも重要です。
ExcelでABC分析を行う方法
ここからは、ExcelでABC分析を行う手順をご紹介します。
今回は売上データを例に考えてみましょう。なお、これから紹介する分析手順に用いるExcelテンプレートはこちらから無料ダウンロード可能ですので、ぜひダウンロードして読み進めてみてください。
データの準備
まずは、分析のもととなる売上データを準備します。今回は、製品ごとの売上高で考えます。
このとき、データは売上高が高い順に並べるようにしてください。Excelの並び替え機能で「降順」を選べば、売上が高い順に並び替えることが出来ます。
製品ごとの売上構成比を算出
続いて、製品ごとの売上構成比を算出します。
各製品の構成比は、「各製品の売上高÷売上高の合計」で計算できます。
また、累積構成比は、売上を高い順に並べたときにその製品よりも売上の高い製品の構成比を足し合わせればOKです。
累積構成比をもとにランク分け
続いて、累積構成比をもとにランク分けをしていきます。
たとえば、累積構成比が70%までをAランク、70%~90%までをBランク、90%以上をCランクとすると、以下のようにランク分けすることが出来ます。
ランク分けまで出来れば、あとはそのランクに適した管理方法を考え、実施していきます。
分析するだけではあまり意味がないので、しっかり施策検討と実行まで落とし込んでいくようにしましょう。
ABC分析の戦略への応用
ここからは、具体的なABC分析の戦略への応用について説明していきます。
復習になる部分もありますが、最初から分析の流れを見ていきましょう。
まずは、以下のような商品別の売上データがあったとします。
この商品別売上データを、2018年度における売上降順に並べ替えて分析すると、以下のような商品別ABC分析の表やグラフを作ることができます。
上の図の場合、2018年度の商品売上高でABC分析を行っていますが、上位5商品で売上全体の80%近くを占めていることがわかります。
このようにABC分析を行うと、商品の優劣がはっきりするので、どれをテコ入れして販売していくのかはわかるようになります。
さらに、ここからは、「誰に、何を、どのように展開していくのか」という戦略を立てていくためのデータを抽出していきます。
まず、商品×顧客別売上データを抽出します。
日別の商品別売上元データと異なるのは、それぞれの商品を誰が購入したのかという「顧客情報」も含めているところです。
「誰が」購入しているのか、 顧客情報が見えれば、より細かく次の打ち手を構築することができます。今回は、顧客情報まで追うことで、購入者のほとんどが女性ということが分かったとします。
このように分析していくと、たとえば売上が伸びてきている商品Dについては、構成比の高い30代女性に対してまずはアプローチをかけていくことがベターになります。
ABC分析は、単純な在庫管理だけでなく、顧客情報などと組み合わせることによって、細かな販売戦略に落とし込んでいくことも可能です。
ここでよく問題になるのが、上のような「商品×顧客別売上データ」がなかなか取れないということです。これは、商品別の売上データと顧客データベースが別々のファイルで保有されている場合が多いからです。
その場合は、共通の項目(顧客IDなど)を使って、データを紐づけします。
エクセルの「VLOOKUP」という関数を使って、紐づけて、分析に使える形にデータを整えていくということもデータ分析において非常に重要な作業の一つです。
(参考)VLOOKUP関数とは 特徴や使い方をExcel初心者にも分かりやすく解説
ABC分析のビジネスにおける活用イメージ
ここからは、ABC分析のビジネスにおける活用イメージをご紹介します。
ケース:ファーストフード店
とあるファーストフード店にて、メニュー種別でのABC分析を実施しました。
たとえば、メインのフードメニュー、サイドのフードメニュー、ドリンクなどのようにカテゴリごとで分類し、それぞれABC分析を行います。
これまでは店長の経験や感覚で在庫の管理を行ってきたため、食品のロスが出ることも多い状態でした。
しかし、ABC分析で正しくランク分けを行うことによって、不良在庫や食品ロスも減り、効率的な在庫管理が出来るようになりました。
また各カテゴリのなかで、より重要度の高いメニューがどれかということが分かるようになりました。
他にもチェーン店の場合は、店舗別でのABC分析を行うことで、各店舗で重要度の高いメニューが分かります。
もしフードロスを減らす目的であれば、賞味期限別でABC分析を行う方法もいいでしょう。
重要度の高いメニューがデータ分析により可視化されることで、効率的な在庫管理や、販促活動へとつなげていくことができます。
まとめ
ABC分析を行うことで、重要度に応じて適切な管理方法ができるようになります。
現場担当者の勘や経験に基づいて仕入れなどを管理していると、無駄なロスが発生していたり、担当者が変わってしまった時に正しく判断が出来なくなってしまう場合があります。
そんな時にも、あらかじめ重要度の定義を決めてABC分析でランク分けをしておくことで、誰が見ても同じように重要度を把握することが出来ます。
是非、自社の商品やサービスの管理が上手くいっていない場合には、ABC分析を行ってみてください。
適切で効率的な管理方法を見つけることで、よりよい経営に繋げていきましょう。
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