2026年1月、私たちはハワイ・ホノルルで開催された国際カンファレンス「PTC’26」で登壇し、自社開発のAIマネジメント支援ツール「AIマネジメントボード」を発表しました。あわせて、本システムの特許出願が完了したこともお知らせいたします。
今回は、「なぜこのツールを作ったのか」「何が新しいのか」をお伝えします。
DXは進んだ。でも、人が置き去りになっている。
今、多くの企業がDXを進めています。AI、BI、クラウド…あらゆるシステムが導入されています。
でも、現場のマネージャーからはこんな声が聞こえてきます。
「トレンドや目標KPIは分かる。でも、結局何をすればいいのかが分からない。」
数字を見えるようにしただけでは、誰の問題も解決しません。DXの本質は、ツールの導入ではなく「人が成長し、働き方が変わること」。AIは人を置き換えるためではなく、人の可能性を解放するためにある。この信念がKUROCOの出発点です。
AIマネジメントボードとは
AIマネジメントボードは、データとAIで「人の成長」を支援するマネジメントプラットフォームです。
売上予測でも、業務自動化でもありません。目的はただひとつ ―
マネージャーがスタッフ一人ひとりを理解し、成長を導けるようにすること。
第一歩として美容サロン業界で導入しています。サロンは「人の力」で売上が決まる業界。接客、技術、信頼関係 ― 数字だけでは見えない要素が成果を生み出します。
3つの技術的な特長
① クロスサロン学習
すべての参加企業のデータを1つのデータプールに統合しています。1店舗のデータでは見えないパターンが、数十〜数百店舗分を組み合わせることで初めて見えてきます。
例えば、大阪で伸び悩んでいたスタイリストが、3年前の福岡のトップスタイリストと年齢・顧客層・初期兆候が完全に一致していた ― こうした知見は企業横断の学習でのみ可能になります。

② 文脈を理解するAI(RAG × コンテキスト・エンジニアリング)
同じ「リピート率低下」でも、勤続10年のベテラン(燃え尽きの兆候)と入社3ヶ月の新人(自信をつける途中)では対策はまったく違います。
RAGがデータベースから類似ケースを検索し、コンテキスト・エンジニアリングが「その人が誰で、今どんな状況にいるか」を理解する。この組み合わせで、画一的ではない個別最適化された提案を生成します。
プレゼンでは、こんなエピソードも紹介しました。
「Aさんはもう少し笑顔を増やしましょう」とAIが提案。
マネージャー:「AIさん、それはいいけど…彼女はマスクをしてるんです。」
AIも私たちも、まだまだ学習中です。ですが、この修正こそがAIを育てていくのです。


③ 継続学習
マネージャーがAIの提案を修正すると、その内容が即座に学習に反映されます。定期的な再学習ではなく、継続的な学習です。
従来のAIが「美容室について教科書を読んだコンサルタント」だとすれば、私たちのAIは「長年あなたのサロンで働き、あなたの判断から学び続けてきたパートナー」。使い込むほど、そうなっていきます。

④ 「成り行き」と「目標」のギャップを一目で把握できる(未来をつくるチャート)
スタッフの過去実績データから、このまま推移した場合の「成り行き」を予測し、同時に目標達成に必要な数値を表示します。
「順調に見えるが目標には届かない」「あと少しで届くがボトルネックがある」といったギャップを可視化。
マネージャーが“感覚”ではなく、未来との距離を基準に「今、何に注力すべきか」を直感的に判断できる仕組みです。

特許出願済み
AIマネジメントボードのシステム全体について、特許を出願済みです。データ統合基盤、文脈考慮型AIレコメンデーション、継続学習の仕組みを含みます。
PTC’26での登壇について
PTC(太平洋電気通信協議会)は、通信・デジタルインフラ・ICT分野の国際カンファレンスで、毎年1月にハワイで開催されています。今回のPTC’26は、前年に続き多くの関係者が参加し、60カ国以上から通信事業者・テクノロジー企業・政府関係者・投資家が集まりました。
KUROCOは、代表の齋藤健太とエンジニアのエカテリーナ・ヴィノグラドワが登壇し、約20分のプレゼンテーションでAIマネジメントボードのコンセプト・技術・デモを発表しました。
登壇タイトル:「Transforming SME Management with AI-Driven Insights to Maximize Human Skills」

なぜ「KUROCO」なのか
社名は歌舞伎の「黒子」に由来しています。昨年大ヒットした映画『国宝』でも描かれた、舞台の裏で主役を支える存在です。
観客には見えない。でも、黒子がいなければ舞台は成立しない。
KUROCOは、データとAIで人や組織を「舞台裏から支える」存在でありたい。AIが主役ではなく、人が主役として輝けるように。
今後の展開
まず日本の美容サロン業界で徹底的に実証し、教育・医療・小売・ホスピタリティなど「人が育つ」現場への展開を目指します。PTC’26を通じて海外からも関心をいただいており、将来的な海外展開も視野に入れています。
この挑戦に共感いただける企業の方がいらっしゃいましたら、ぜひ一緒に取り組みましょう。
代表 齋藤健太 コメント
このたびPTC’26にて、私たちが取り組むAIマネジメントボードについて発表する機会をいただき、光栄に思います。まずは美容サロン業界を起点に、忙しい現場でも育成と評価が継続し、納得感が積み上がる仕組みづくりを進めて参ります。現場では、良い育成ほど個人の経験に依存しやすく、再現が難しいという課題があります。私たちは、感覚や経験を否定するのではなく、それを言語化し、次の行動に落とし込める形にすることで、育成を属人化から仕組み化へと進めます。
私たちの特徴は、AIが一方的に答えを出すのではなく、管理職の修正や判断が学習の材料になる点です。たとえば、フィードバック文や評価理由、次の育成方針などをAIが提案し、管理職が自社・自店の方針やスタッフの状況に合わせて加筆・調整する。その積み重ねによって、AIがその組織らしい育成の基準を学び、精度と再現性が高まっていきます。結果として、育成の質を上げながら管理職の負担を増やさず、スタッフが「次に何をすれば伸びるか」を理解できる状態をつくります。
将来的には、「人が育つこと」が価値の中核にあるあらゆる業界への展開を予定しています。現場の知見が継承され続けるマネジメントの形を広げ、データとAIの力で支えてまいります。
エンジニア エカテリーナ コメント
既存の正解がない領域だからこそ、毎日が発見と挑戦の連続であり、エンジニアとしてこれほど面白い環境はないと感じています。私たちが目指すのは、AIが必要な情報を自然言語で届ける「対話型AIマネジメント」です。データを探しに行くのではなく、AIが文脈を理解して答えを届ける。だからこそ、誰でも直感的に理解し、すぐに行動に移せます。現在の汎用AIモデルは日本の美容業界の商習慣や評価基準に最適化されていません。このギャップを業界特化のAIで埋めることが、私たちのエンジニアリング上の核心です。
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