データの質を高めるためには「手入力」を減らそう
KUROCO株式会社代表の齋藤です。
ビジネスにおけるデータ分析の有用性は皆さんもご存知の通りだと思います。ただ、単にデータを分析するだけではなく、それを売上や利益を上げるための施策に繋げなければ意味がありません。
そこで今回は「施策に落とせるデータ分析を実現するための必須事項」を解説します。
目次
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データ分析の精度を高める「データの量と質」
この施策に落とすためのデータ分析をするためには、データ分析の精度が高くなければなりません。
では、データ分析の精度を高めるにはどうしたら良いのか。データ分析者の能力でしょうか。いえ、違います。
特に今は分析自体はいろいろなツールや技術が出てきて、かつ簡単に使えるようにもなってきているので、そこでの差はそんなに出ないと思っています(もちろん、どんな視点で分析するかなど、経験値がものを言う部分もありますが)。
ではデータ分析の精度を高めるには何が必要なのか。
それは、データそのものの量と質になります。
データの量については、ビジネスの業態やボリュームによっても変わってきますが、様々なデータがあることで、いろいろな角度からの分析が可能となります。問題はデータの質になります。
いくらデータ量が多くても、その質が悪ければ制度の高い分析はできません。場合によっては間違った示唆を導いてしまうことさえあります。このデータの質が高ければ高いほど、データ分析精度は高まります。結果として、データ分析・活用による売上アップもしやすくなります。
業態別のデータ分析精度の上げやすさ
図表 業態別のデータ分析精度の上げやすさとその理由
上図は、業態別のデータ分析精度の上げやすさとその理由になります。
データ分析精度が上げやすい=データの質を高めやすい、ということです。
最も上げやすいのはD2C(EC)になり、次いでBtoC業態、BtoBtoC、最もデータの質を上げにくいのがBtoB業態となります。もちろん、企業や取扱い商材、ビジネスモデルによってはBtoB業態でも質の高いデータを取得できています。あくまで平均的に、ということではありますが、参考までにご確認ください。
データの質を高めるためには、出来る限り自動でデータを取得することです。人の手を介さない、ということです。データの取得時に人の手を介すほど、誤ったデータの入力が発生するケースが多くなるからです。
そういった意味でも、上図にあるように、出来る限り自動で取得できるD2C業態の方が、どうしても営業担当者やインサイドセールスといったビジネス上データを取得するために人の手を介す必要があるBtoB業態の方がデータの質を低くしてしまう可能性が高くなります。
「出来る限り手入力を防ぐこと」でデータの精度高める
しかし、D2C業態など、ほとんどのデータを自動で取得できていたとしても、データの質を低くしてしまっているケースが多いのが実情です。
その理由は、「マスタデータ」にあります。例えば、D2C(EC)業態において、次のようなケースがよく生じています。商品情報をECサイトのカートシステムのみで管理している場合、サイト上でのカテゴリ検索が、例えば、
- アパレル
- 化粧品
- 雑貨
- 家具/インテリア
- セール品
となっていたとします。一つの商品に対して複数のカテゴリを登録できれば良いですが、カートシステムによっては一つのカテゴリしか登録できないことがあります。
その場合、上記の例でいうと、アパレル、化粧品、雑貨、家具/インテリアについては「商品カテゴリ」となりますが、セール品は異なります。セール品の中には、アパレルや化粧品、雑貨などの商品が入ってきます。
要は、上記のような区分しか出来ない場合、MECE(ミーシー:漏れなくダブりなく)にならないため、商品分析をする際に正しく分析することが出来ないのです。
カートシステムで複数のカテゴリが登録出来るのであれば、全ての商品に対して、
- 商品カテゴリでの区分け(アパレル、化粧品、雑貨、・・・等)
- 販売方法での区分け(プロパー、セール)
の両方を付ける必要があります。
仮に同じ商品をプロパーでもセールでも販売することがある場合は、商品IDをプロパーとセールで分けるか、いつからいつまでプロパー価格とセール価格で販売した期間を分かるようにしておくことが必要です。もしカートシステムで複数のカテゴリが登録出来ないのであれば、エクセルなどで良いので、別で商品マスタのデータを作成する必要があります。そうすることで、データに抜け漏れがなくなり、精度の高いデータ分析が可能となります。
従って、BtoB業態においても同じようにデータ入力のルールを定めて正しく蓄積できるように徹底すれば、精度の高いデータ分析が出来ます。
出来る限り手入力を防ぐこと、例えば、取引先企業の業種や年商など選択式にすることです。どうしても手入力せざるを得ない企業名や担当者名などは、入力方法のルールを定めること、例えば、スペースは入れない、㈱などではなく株式会社と入れる、全角にする、などです。
マスタデータさえMECEで必要な要素が入っていれば、精度の高いデータ分析が可能となります。結果、施策に落とすためのデータ分析が可能となり、売上や利益を上げることに繋がっていきます。
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