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データ分析

データ分析のコツは「大きな傾向を掴む」こと

データ分析は大きな傾向から掴んでいく

データ分析を効率よく進めていくにあたって大切なことは、「大きな傾向から掴んでいくこと」です。

たとえば、全国に店舗があるような小売業態の売上を伸ばす施策を考えるためのデータ分析を行う場合、企業全体での売上推移の増減 → 売上増加している店舗と売上減少している店舗を分類 → 売上が減少している店舗の特徴は何か、といったように、大まかな状況の傾向から掴んで、徐々に仮説を絞り込んでいくのです。

その上で、客数が減少しているのか、客単価が減少しているのか、立地条件での差、店長の力量の差……と細かく分析していきます。

野球でたとえれば、一からピッチャーを育成する際、いきなり「足はあと5cm高く上げて、手首はあと半回転捻りなさい」などといった教え方はしないでしょう。まずは、足の上げ方、腕の振り方など、大きな動きを覚えてもらうところからです。

そして、大きな動き(フォーム)を覚えたあとに、より正確なボール、あるいはより速いボールを投げるために、足を5cm高く上げたり、手首を半回転捻ったりといった細かい動作を微修正しながら精度を高めていくはずです。

データ分析もまったく同じで、大きな傾向から掴んでいき、掴んだ傾向の中で課題が見つかったところを深掘りして細かく分析していきます。

細かいところに入りすぎてしまう罠

しかし実際には、いきなり「足はあと5cm高く上げて、手首はあと半回転捻りなさい」のような、細かい部分のデータ分析から入ってしまうという罠はよくあるのです。

たとえば、図表1の商品別の売上増減率では、商品Aから商品Eの5商品を比べたときに、商品Eが最も減少率は高く、売上減少を招いている原因のように思われます。

図表1 商品別の売上増減率

他方、図表2は、商品別の売上金額と、全売上に対する構成比に、図表1で示した増減率を加えたものです。

図表2 商品別の売上金額(増減率を含む)

最も減少率の大きい商品Eは、全売上に占める割合は2018年度にはたった2%しかないことがわかります。一方で、減少率は小さいものの、商品Aが全売上の減少額以上の減少をしていることがわかります。

つまり、この場合、いくら商品Eの売上減少を抑えることができたとしても、売上全体を改善するには至らず、目的を達成させるための本質的な解決策にはなりません。売上を増加させるためには、売上全体の半分近くを占めている商品Aの売上減少要因を把握し、改善することが必要です。

上記の例は少し極端かもしれませんが、「減少率が大きい」ことを売上減少の要因だと勘違いして、あまり意味のない分析をしてしまうことはよくあるのです。

もちろん、まったく関係ないわけではなくとも、限られた時間の中で効率的・効果的なデータ分析を行うためには、大きな傾向から順番に見ていくことが重要です。その際には、必ず“実数”を常に見ていく、ということを意識してください。

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