データ分析基盤とは?役割や構築の進め方を解説
ビジネスにおけるデータ活用の重要性が高まっていく中で、「データ分析基盤」と呼ばれるシステムの需要も高まってきています。
そこでこの記事では、データ分析基盤の役割や、実際にデータ分析基盤を構築する際の正しい進め方を解説します。
目次
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データ分析基盤とは
データ分析基盤とは、ビジネスに関連する様々なデータを統合し、事業に活用できる状態にするシステムのことです。
企業が事業を行なっていく中では日々様々なデータが発生しており、それらのデータは営業部が使っている管理システムであったり、Webサイトの管理システムであったり、様々な形で様々な場所に蓄積されています。
データ分析基盤はそれらのデータをできるだけ自動で収集し、データを可視化したり、データに基づいた広告配信をしたりできるようにするためのシステムです。
データ分析基盤の役割はあくまでデータの保持です。データの可視化や広告の配信といったビジネスへのデータ活用自体はそれぞれ専用のシステムをで行うのが一般的です。それらのシステムと連携し、すぐにデータを活用できる状態で保持しておくことがデータ分析基盤の主な役割です。
ただしデータの保持と言っても、取り扱うデータの種類は様々でその量も大きい場合が多く、活用方法も企業によって多様です。そのため、データ分析基盤の構築には専門的な知識を持ったデータサイエンティスト、データエンジニアの力が必要となります。データサイエンティスト、データエンジニアが社内にいる場合には自社で開発することもありますが、プログラミングの知識などを使わずにデータ分析基盤を構築できるサービスもあるため、そういったサービスを利用して構築することも可能です。
データ分析プラットフォームとは
データ分析基盤と似た言葉に「データ分析プラットフォーム」というものがあります。プラットフォームとは英語で「土台、基盤」という意味があり、基本的にはデータ分析基盤と同じ意味で使われます。ただしデータ分析プラットフォームと言う場合、上記のようなデータ分析基盤に、BIツールなどを連携してデータの可視化までを自動できるようにしたシステム全体を指すこともあります。
データ分析基盤もデータ分析プラットフォームも比較的新しい言葉で、厳密な定義はないため、シチュエーションごとにどのような定義で使われているのかを把握しておくことが重要です。
データ分析基盤の基本的な3つの役割
データ分析基盤の基本的な役割は
- データをそのまま保持する役割
- データを整理/加工して保持する役割
- データを分析/可視化できる状態で保持する役割
の3つです。主な役割はデータを保持することですが、細かく分類すると上記3つの役割に分けることができます。これらの役割を満たすことで、データをビジネスに活用するためのシステムとして機能することができます。
データの保持 データレイク
データをそのまま保持する役割は「データレイク」とも呼ばれます。データを溜めておく湖(lake)に例えてデータレイクと呼ばれています。
ビジネスに関わるデータは数値やテキスト化されたものに限らず、画像や動画も含めた様々な形式のものが存在します。それらに加工を加えずそのままの状態で保持することがデータ分析基盤に必要な1つ目の機能です。
データの加工/整理 データウェアハウス
データを加工/整理して保持する役割は「データウェアハウス」と呼ばれます。整理された状態で保持することを倉庫(warehouse)に例えてデータウエアハウスと呼ばれています。
データのノイズを除去したり管理番号を振ったりと整理された状態でデータを保持する機能です。
データの分析/可視化 データマート
データを分析/可視化できる状態で保持する役割は「データマート」と呼ばれます。データがすぐに使える状態で保持されていることを市場(mart)に例えてデータマートと呼ばれています。
データウェアハウスとの違いに明確な定義はありませんが、データウェアハウスでの整理があくまでデータを保管するための整理であるのに対して、データマートでの整理はダッシュボードや外部のシステムにデータを出力できる状態まで加工しているのが一般的です。
データ分析基盤を構築するメリット
データ分析基盤を構築することで、企業はデータを軸とした経営体制を作ることができ、事業の成長にもつながります。より具体的なデータ分析基盤構築のメリットには次のようなものがあります。
素早い分析が可能になる
データの可視化までを見据えてデータ分析基盤を構築することで、それまでデータを出力したり整理していた手間を省くことができるため素早くデータの分析ができるようになります。処理能力が高いシステムを選べば、データの処理も速くなりより素早いデータ分析が可能になります。
大量のデータの分析も可能になる
最近ではデータ分析基盤はクラウド上に構築することが多くなってきており、そうすることで自社のサーバーでデータを保持していた時に比べて大量のデータを保持、分析できるようになります。いわゆるビッグデータと呼ばれるようなデータの分析も可能になります。
分析の精度が高まる
社内外のデータを分析、可視化することまで設計してデータ分析基盤を構築することでデータ分析の精度をあげることができます。
属人化を防止できる
上記のようにデータを活用できる環境を整えることで、データに基づいて戦略を立てることができるため、勘や経験に頼らない、属人的でない組織作りに繋がります。
迅速な意思決定が可能になる
データを活用することは迅速な意思決定にもつながります。勘や経験に頼った議論で結論がまとまらなかったような場面でもデータを基に考えれば根拠が明確になるため素早く適切な意思決定ができるようになります。
データの可視化ダッシュボードを社員一人ひとりが確認するような体制を作れれば、日々の業務における意思決定も素早く行えるようになります。
データ分析基盤構築の進め方
データ分析基盤は次のようなステップを踏んで進めることでよりスムーズに構築することができます。
- 目的を明確にする
- データを分析する
- ダッシュボードを設計する(構築する)
- データ分析基盤を設計・構築する
- 運用・改善していく
目的を明確にする
データ分析基盤を構築することでどんな課題を解決したいのか、を明確にすることが重要です。その目的が明確になれば自ずとデータがどのように可視化されるべきなのかも明確になり、収集するべきデータも整理できるようになります。
データを分析する
目的が明確になったらまずは目的にそったデータ分析を行います。いきなりデータ分析基盤を構築するのではなく、まずは人の手でデータを集めて分析を行うことで、どのようなデータ分析が必要で、そのために収集すべきデータが何かをより性格に把握することができます。
ダッシュボードを設計する(構築する)
データ分析で必要な分析や必要なデータが明確になったら、次にデータを可視化するためのダッシュボードの設計を行います。ダッシュボードでは事業を成長させていくために見るべき指標や施策の立案や検証に必要な数値などが、専門的な知識がない人にも分かる形で可視化されるような設計が必要です。
実際にダッシュボードでデータを見てビジネスに活用するのは営業部などのデータの専門的な知識のない人である場合が多いため、そういった人たちでも理解できるようなダッシュボードを設計しましょう。
データ分析基盤を設計・構築する
ダッシュボードまで設計できたら、実際にデータ分析基盤を設計・構築します。
データ分析基盤の構築は、社内のプログラミングなどの知識を持った人材がいれば自社で構築することもできますが、外部のデータ分析基盤サービスを利用すれば、プログラミングの知識なしで構築することも可能です。自社の人材やコストなどを考えて構築方法を決めましょう。
データ分析とダッシュボードの設計が適切に行われていれば、必要なデータやデータの出力先も明確になっているはずなので、それにあわせてデータ分析基盤を構築します。
運用・改善していく
データ分析基盤は構築して終わりではなく「正確なデータを日々更新することができているか」「セキュリティ面に問題はないか」などをチェックしながら運用していくことが必要です。
ダッシュボードなどを運用していく中で改善するべき箇所があった場合には、それにあわせてデータ分析基盤も最適な形に修正が必要なため運用しながらシステムも改善していきましょう。
データ分析基盤サービスの選び方
外部のデータ分析基盤サービスを利用する場合には次のようなポイントに注意して選びましょう。
自社のシステムとの連携は可能か
データ分析基盤の運用では、効率的なデータ活用を大きな目的の1つです。そのためには自社のシステムと連携してデータの収集からダッシュボードなどへの出力までを可能な限り連携して自動で行えるようにするのが理想です。
自社に導入しているシステムがデータ分析基盤と連携可能かどうかは必ずチェックしましょう。
一気通貫で構築できるか
サービスによってはデータレイクやデータウェアハウスなどのシステムが独立している場合もあります。しかしいくつものシステムを連携させたり、そのためにカスタマイズを行なったりしていると数年後には社内に仕組みが分かっている人がいないという、いわゆるブラックボックス化してしまいやすいです。そのためデータの保持に関わる機能は一気通貫で構築できるサービスを選ぶのがおすすめです。
拡張性はあるか
今後の事業展開や市場環境にあわせた拡張性があるかどうかも重要です。プランやオプションなどが豊富であったり、将来的に自社に必要になる機能があるかもチェックしましょう。
ただし機能を追加するたびに別のシステムを導入したり、自社専用にカスタマイズしているとブラックボックス化の原因となってしまうため、データ分析基盤サービスの中で拡張機能が利用できるかにも注意しましょう。
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