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BtoBサイト改善のポイントとやってはいけないコト

BtoB企業がデータ活用においてやってはいけないコト

この記事では、BtoB企業が「データ活用においてやってはいけないこと」と「成果につながるデータ活用の取り組み方」を解説します。

改善のスタートはデータによる「現状把握」

改善のスタートは、「現状把握」となります。そもそも自社にとっての強みや課題を見極めないことには効果的なサイト改善は実現できません。

自社にとってどこを強化すべきなのか、強化するために必要な施策は何なのか、その施策を効率的に実行するために必要なシステムやツールは何なのか、という順序をとっていくことが正しいデータ活用のプロセスになります。

そのスタートとなる自社にとってどこを強化すべきなのかを導くためには、自社サイトも含めたマーケティング業務全体をデータ分析し、定量的な現状把握、それらに紐づく各業務の棚卸(業務の現状把握)が必要となるのです。

顧客の行動プロセスごとにデータを分析する

そして、現状把握するに当ってのポイントとしては、顧客の行動プロセスごとに、データ分析とそれに紐づく業務の棚卸をすることになります。

下の図表をご覧ください。

顧客の行動プロセスごとのデータ分析と業務の棚卸イメージ

顧客の行動プロセスとしては、

  1. そもそも自社のことを知っている or 知らない
  2. 自社のことを知っており、HPやセミナー等へ訪れたことがある or 訪れたことはない
  3. HPやセミナー等へ訪れたことはあり、実際に問合せをしたことがある or 問合せはしたことがない
  4. 問合せをして商談に進み、実際に取引をした or 取引はしていない
  5. 取引をしたことがあり、リピートしている or 1回限りの取引となっている

といったように、認知→興味・関心→比較検討→購入・取引→リピートという流れを取ります。そして、それらそれぞれのポイントにおいて、現状の数値状況をデータ分析することで、強みや課題を定量的に把握します。

例えば、認知から興味・関心に至る割合を時系列でデータ分析した結果、悪化しているのであれば、一つの課題となるでしょう。一方で、比較検討から購入・取引に至る割合を業種別でデータ分析した結果、メーカーの取引率が高ければ、一つの強みとなるでしょう。

このように、顧客の行動プロセスにおける各行動の状況を、顧客の業種や規模、営業担当者別、推移など、様々な角度でデータ分析することで、自社の現状の強みや課題が導き出されます。そして、それら導き出された数値は自社の現状の業務内容による「結果」となります。

従って、その結果を生み出した要因となる業務内容についても何を行っているのかを棚卸することにより、強みの源泉となる施策や、課題を解決するために必要な施策が何なのかを導き出すことができるのです。

課題に合わせたサイト改善を行う

サイト改善を行う際、例えば認知から興味・関心に至る割合が低い場合、HPへの流入者をいかに資料ダウンロードや問合せなどのCV(コンバージョン)へと導くかのサイト改善が必要でしょう。また、リードに対して商談に繋がるような比較検討割合が低い場合、インサイドセールスの強化やMA(マーケティングオートメーション)の一つの機能であるメールマーケティング等による顧客育成が必要かもしれません。

このように、サイト改善に当ってのスタートには、顧客の行動プロセスに基づいたデータ分析とそれに紐づく業務の棚卸による「現状把握」が重要なのです。

先ほどの図表をもう一度見てみましょう。

顧客の行動プロセスごとのデータ分析と業務の棚卸イメージ

顧客の行動プロセスごとにデータ分析や業務の棚卸をすることで現状把握をした上で、改善施策を講じていくことになるのですが、順序としては顧客との距離が近いプロセス(図表の右側)から施策を講じていくことが重要です。

例えば、新規顧客をたくさん取得できるようになってもリピート率が低いままだと、いつまでも新規獲得の労力が減ることはありません。あるいは、広告施策により自社サイトへの流入数が増えたとしても問合せや資料ダウンロードなどのコンバージョン施策やサイト自体のUI(ユーザインターフェース)が整っていなければザルに水を注ぐようなもので、広告費の無駄遣いになってしまいかねません。

顧客との距離が近いプロセスほど効果が出やすい

各プロセスにおける課題すべてに対して施策を講じることは必要なのですが、順序としては顧客との距離が近いプロセスから、ということを意識しましょう。また、工数(使う費用や労力、時間)に対して、効果が出やすいのも顧客との距離が近いプロセスになります。なぜなら、顧客の状態が「よく見えている」からです。

例えば、継続・リピート率を高めていくためには、取引実績を分析することで、継続している顧客としていない顧客の差が定量的に把握できます。取引頻度の高い取引先の特徴や取引状況から、他の取引先へと横展開することで継続・リピート率を高めることができます。新規取引に至った見込み客(受注)とそうならなかった見込み客(失注)についても、営業活動や見込み客の顧客情報が蓄積されていればこちらも分析することでその違いが把握できるでしょう。

しかし、問合せに至った見込み客とサイトに訪問はしたものの問合せにまで至っていない見込み客との違いを定量的に把握するのは難しくなってきます。なぜなら問合せにまで至っていない見込み客についてはデータが蓄積されていないからです。

従って、問合せに至っている見込み客のみのデータを分析して施策を講じることになりますが、その精度は先の2つと比較すると落ちるでしょう。

これらの理由より、データ分析および業務の棚卸による現状把握から改善施策を実行する際は、顧客との距離がより近いプロセスから、が重要なのです。

「ツールの導入から」はしてはいけない

CRMやSFA、MA(マーケティングオートメーション)など、BtoB事業を取り巻くツールはたくさん存在しています。BtoB事業にとって、営業活動が利益を生み出すための源泉となる「受注」を取る上で、最も重要なビジネスプロセスであり、そのためには顧客管理(CRM)や営業管理(SFA)は欠くことのできない項目です。

その営業活動を下支えするマーケティング活動を仕組化(オートメーション化)するMAの領域も、働き方改革が進む中、生産性や効率性を高めるために数年前から注目され伸びている分野となります。そして、それらを推進するツールは日本製、海外製問わずたくさん出ており、多くの企業が何かしらを導入しています。

しかし、敢えて言います。サイト改善の入口として、これら「ツール」を入れないこと、これが重要です。ツールはあくまでもデータ活用をするための「道具」に過ぎません。

本当はサッカーをやるのに野球の道具(バッドやグローブ)を揃えても扱えません。さすがにこれは言い過ぎかもしれませんが、それに近いようなことが多くの企業で起こっているのが現実です。少なくとも、生産性、効率性の向上のためにツールを導入したものの、そのツールを十分に使いこなせていない企業はとても多いです。

まずは自社が目指すべき理想の姿を明確にした上で、それを実現するためのサポートとして、適切なツールを選択する、という順番が本来あるべき流れであり、その順番でツールを選択することで、ツールの効果も最大限活かせることができるようになるのです。

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