在宅勤務と転職意識の意外なつながりとは?テレワーク時代を生き残るために知っておくべき現場のリアルな声
昨今、新型コロナウイルスの広がりもあり、感染対策のために在宅勤務の浸透に全国的に力が入れられています。しかし職種によっては、どうしても在宅勤務ができない職業もあります。
今後どのようにしてウイルスが収束していくか分からない現在、在宅勤務の実施可否は、今後の私たちの働き方を考える重要な指標の一つだと思います。そして、在宅勤務のできる職業で働きたいという人も増えてくるのではないかと思います。
そこで今回、KUROCO株式会社では、「在宅勤務の実施有無」と「転職意識」の間に関連がないか調査をしました。調査概要は、以下の通りです。
≪調査概要≫
調査方法:Webを使ったアンケート調査
調査期間:2021年5月14日~28日
調査対象:ココワンリサーチに登録している現役の社会人
有効回答者数:386名(男性231名、女性155名)
目次
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在宅勤務の最大のメリットは「通勤時間の削減」
まず、在宅勤務のメリットを調査したところ、以下のような結果となりました。
在宅勤務をしている方にお聞きします。在宅勤務をしていてメリットだと感じることは何ですか。(複数回答可)(n =121)
メリットの上位5位をまとめると以下の通り
- 通勤時間が省ける
- ウイルス感染リスクを軽減できる
- 見た目を気にしなくて済む
- 自分のタイミングで休憩をとれる
- 出費が減った
メリットでもっとも多かったのは、「通勤時間が省ける」という回答でした。
ついで「感染リスク軽減」が2位に来ているということで、衛生面・健康面において出社するよりも安心して働ける点に在宅勤務のメリットを感じている方も多いということが分かりました。
また、「見た目を気にしなくて済む」は時間の節約にもつながる話だと思います。例えば見た目を気にしなくて済むので、化粧や髪のセット、服を着替えるなどがなくなるためです。
そういった意味では「通勤時間が省ける」と似たような回答の種類なのかもしれません。在宅勤務のメリットとして、“時間の節約”を感じることが大きいのかもしれません。
在宅勤務のデメリット 最も多かった声は「生産性の低下/怠けてしまう」
続いて、在宅勤務のデメリットについてのを調査結果を見てみましょう。
図:在宅勤務をしている方にお聞きします。在宅勤務をしていてデメリットだと感じることは何ですか。(複数回答可)(n =121)
デメリットの上位5位は以下の通りです。
- 生産性の低下/怠けてしまう
- 社内でしかできない仕事が進められない
- 仕事とプライベートの区切りが曖昧になった
- 情報共有・コミュニケーションの不足、体調面の悪化/運動不足
- 体調面の悪化/運動不足
調査の結果、在宅勤務のデメリットは「特にない」と感じている人が最も多いという結果になりました。
デメリットの第1位は「生産性の低下/怠けてしまう」、2位は「社内でしかできない仕事が進められない」という結果になり、両者ともに“仕事の質の低下”に関するデメリットが続いています。
また、メリットの回答では「健康的になった」という声はかなり少なかったのですが、デメリットとして「体調面の悪化/運動不足」は第5位という結果になりました。
転職活動を始める理由、第1位は「給与への不満」
次に転職に関する意識についてみていきましょう。
転職に関する意識についての調査では、転職を考えている人は約3割程度、転職する予定がないという人は7割弱という結果になりました。
図:転職に関する意識について教えてください(n =386)
また、転職活動をしている方、する予定のある方に転職活動を行う理由を調査したところ、以下のような結果が得られました。
図:転職活動をしている方、今後する予定がある方にお聞きします。転職活動をする理由を教えてください。(複数回答可)(n =121)
上位5位は以下の通りです。
- 給与に不満がある
- 人間関係に関する不満
- 会社の将来性が不安
- 仕事がつまらない
- ほかにやりたい仕事がある
さまざまな不安や不満が上位を占めています。特に給与面の不満による転職の意識が最も多いことが分かりました。
転職意識が高いのは、在宅勤務をしている人
次に、在宅勤務の有無と転職意識のつながりについてみていきます。
在宅勤務の実施有無と転職意識についてクロス集計し100%積み上げ棒グラフにしたものが以下の図です。
図:在宅勤務と転職意識の関連(n =386)
調査の結果、在宅勤務をしている人のほうが転職意識が高いという結果になりました。(有意水準5%で有意差あり)
在宅勤務のほうがメリットがよく挙げられていたので少し意外な結果です。
在宅勤務のメリットとして“時間の節約”の声が多かったことが分かっています。そのため、在宅勤務をすることで時間に余裕ができ、その分転職活動ができる、もしくは自身のキャリアについて考える時間ができたため、転職意識が高まったのではないでしょうか。
在宅勤務を経験者は全体のおよそ3割
次に、在宅勤務の状況についての調査結果です。
図:在宅勤務の状況(n =386)
現状、在宅勤務を経験している人はおよそ3割程度にとどまり、逆に在宅勤務を経験していない人は7割弱という結果になりました。
東京都の調査(テレワーク実施率調査結果|東京都)によれば、都内企業のテレワーク実施率は56.6%ということですが、今回の調査は全国を対象として行ったものであるため、在宅勤務経験者は3割程度という結果にとどまったのかもしれません。
東京都在住の方のみに絞って集計したところ、在宅勤務実施率は45%ということで全体で集計するよりも多い結果となりました。
在宅勤務を望まない人は約6割!
在宅勤務を経験していない人を対象に、在宅勤務をしたいかどうかを調査した結果が以下の図です。
図:在宅勤務をしていない方にお聞きします。在宅勤務をしたいと思いますか。(n =265)
在宅勤務のメリットが多く挙げられ、デメリットは「特にない」が多いことから、世間的に在宅勤務の評価が高く、在宅勤務を望んでいる人が多いのではないかと思っていました。しかし、結果的に半数以上は「在宅勤務をしたいと思わない」という結果になりました。
その理由は、以下のアンケートにもかかわってくると思います。
以下は、在宅勤務をしていない方に聞いた、「ご自身の仕事は在宅勤務が出来ると思いますか。」というアンケートの結果です。
図:在宅勤務をしていない方にお聞きします。ご自身の仕事は在宅勤務が出来ると思いますか。(n =265)
ここから見ても、在宅勤務を経験していない方の7割以上は、自身の仕事では在宅勤務ができないと考えていることが分かりました。そのため、在宅勤務に対してあまり前向きな結果にならなかったのではないかと考えられます。
まとめ
調査の結果、在宅勤務をしている人のほうが、そうでない人よりも転職意識が高いという結果になりました。ただし、実際に転職活動中の人の割合は変わらず、転職を考えている人の割合が多い結果でした。つまり、在宅勤務によって、転職を意識する時間ができた、しかしまだ行動はしていない、という人が増えたのではないかと思います。
また、通勤時間が短いほど転職意識は低いという結果も得られました。在宅勤務のメリットである通勤時間が省けるという点は、転職意識を低下させることにつながる要素だと考えられます。
本調査が、在宅勤務を含むこれからの働き方を考える際の参考となれば幸いです。
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