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顧客データ、収集と管理のポイントを解説

効果的なデータ管理の方法とは?ビジネスタイプ別に解説

売上を上げるために必要なデータ分析をするためには、データが正確に抜け漏れなく蓄積されていることがポイントとなります。しかし、データ収集や管理がうまくいっていない企業も少なくありません。

そこでこの記事では、顧客データの収集と管理のポイントを解説します。

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顧客データの収集がうまくいかない時の原因

まずは顧客データ取得うまくいかない場合の要因を確認してみましょう。

企業が売上を上げる「施策」の中で、最も重要なプロセスは「営業」活動になります。HPへの集客や資料ダウンロードや問合せを得るためのリード獲得施策などの「マーケティング」活動も必要ですが、やはり直接見込み客と接し、受注を取れるか否かの「営業」の効率や生産性を高めることが、最もインパクトが出てきます。

その「営業」の効率や生産性を高めるためには、現状の「営業」活動における強みや課題を定量的に把握することが必要なのですが、それらを分析するための元となるデータが正確に抜け漏れなく蓄積されていないケースも非常に多いです。

顧客情報の不備

一つは顧客情報の不備です。

例えば、クライアントが同じ企業であるにも関わらず、とあるデータでは「株式会社●●●」と入力されているのに対し、別のデータでは「㈱●●●」や「●●●」と入力されており、同じ企業を紐づけるだけでも膨大な労力がかかってしまうケースです。これは大手企業でさえも今でも起こっている状況です。

また、業種を入力する際、同じ業種にも関わらずA社は製造業と入力されている一方でB社はメーカーと入力されているようなケースもよくあります。この場合は、業種別に分析する際に各企業の業種を確認、修正する工数が余計にかかってしまいます。

営業活動の蓄積不備

もう一つは営業活動の蓄積不備です。

皆さんの会社でも日報や週報等、あるいはCRMやSFAツールを使って日々の営業活動を蓄積されているかと思います。しかし、営業担当者によっては正確かつ抜け漏れなく入力していなかったりすることがあるのではないでしょうか。

また、そもそも入力すべき項目に不備があり、後で集計した際に、誰がどんな見込み客に対して、いつどんな活動をしたのか、分析できない状況になっていないでしょうか。

このように、データ分析するに当って正確かつ抜け漏れないデータを蓄積することが困難な業態となっているのです。

効率的に抜け漏れなく適正なデータを集める方法

ではどうすれば良いのでしょうか。効率的に抜け漏れなく適正なデータを集めるためには、次の2つを同時に満たす必要があります。

  • 業務オペレーションの徹底
  • 業務負荷やミス・漏れを減らす仕組づくり

業務オペレーションの徹底

1つ目は業務オペレーションの徹底です。要は、営業担当者に必要不可欠な業務として徹底させる、ということです。

そのためには、正確かつ抜け漏れないデータを蓄積することの意義や効果の共通認識を持つことが必要ですし、「データ入力」に対して評価を紐づけることも時には必要かもしれません。

とにかく、営業活動の中で「データ入力」が重要な役割を担うということを組織全体で意識し、実行することが当たり前、という環境をつくることが重要です。

業務負荷やミス・漏れを減らす仕組づくり

もう1つはデータを蓄積するための業務負荷やミス・漏れを極限まで減らすための仕組づくりになります。

先ほど業務オペレーションの徹底ということをお伝えしましたが、とは言え、営業担当者の一番の目的は「売上をつくる」ことです。データ入力の負荷が高く、売上をつくるという本来の目的である営業活動に支障が出てしまっては本末転倒です。そこで、業務負荷を出来る限り減らし、かつ正確で抜け漏れのないデータ蓄積ができるための仕組みづくりが必要となってきます。

例えば、CRM/SFAツールを導入しているあるクライアントでは、顧客プロフィール情報の入力ルールが定まっていなかったり、営業担当者の日々の活動(タスク)についても項目を担当者ごとにどんどん追加されており、誰がどんな活動を行っているのか月次や週次で整理・分析することが不可能な状態でした。

必然的に、不正確かつ抜け漏れの多いデータとなってしまっていたので、データ分析をしても大きな傾向は把握できつつも「傾向把握止まり」となってしまい、根本的な課題解決に繋がるような示唆を出すことは困難でした。そこで、データ蓄積のルールと方法を改善することで、効率的に抜け漏れなく適正なデータを集める仕組みを再構築したのです。

具体的な方法としては、

  1. アウトプットに必要な項目を定める
  2. 各項目に入力するデータを定める
  3. 各データの入力プロセス・役割を決める

となります。

1.アウトプットに必要な項目を定める

そもそも営業管理および顧客管理、そしてデータ分析するに当って、どんな項目が必要なのかをしっかりと定める必要があります。

顧客情報であれば、企業名以外に、業種、企業規模(年商、従業員数)、予算、自社類似商品(あるいはサービス)の導入有無等、「誰に」営業活動していくのかを分析、把握するに当って軸となる項目になります。これは社内で改めて議論して列挙し優先順位を決めるで良いでしょう。あまりに多すぎても入力が煩雑になってしまうので、優先順位を付け、必須項目と任意項目とで分類しても構いません。

また、他の企業にどんな項目を入力しているのかヒアリングしても良いでしょう。CRMやSFAツールを導入しているのであれば、ツールベンダーや代理店に自社と類似する企業がどのような項目で管理しているのか聞くのも有効だと思います。営業活動については、タスクの内容について、項目を立てる必要があります。例えば、新規営業なのかリピート営業なのかと言った「営業種別」や、訪問や来社、ビデオ会議といった「営業方法」など、営業の活動内容や、担当者や日付などを項目として設定します。

こちらについても先ほどの顧客情報と同様に、社内で議論したり他社にヒアリングすることで精査していきましょう。

2.各項目に入力するデータを定める

項目が決まったら、次は各項目に入れるべきデータを定めます。

例えば、顧客情報の業種であれば卸売業や小売業、飲食業といったものです。

ここでポイントなのが「各項目に入力するデータを定める」ということです。営業活動していく中で、見込み客のリードが取得できて初めてその企業の業種が分かるかと思います。にも関わらず事前に業種という項目に入力するデータを定める、ということです。

そうです、実際に営業活動において定めた項目に入力していくのですが、自由記述は極力なくしてください。特に必須項目と定めたものについては尚更です。企業名等、どうしても選択式で定められない場合には、ルールの徹底をしていきましょう。

例えば企業名であれば、

  • 株式会社含めて全て記入
  • 全角で記入
  • スペースは入れない

といった具合です。

そして、選択式においてもポイントがあります。それは、「MECE(ミーシー)」で選択肢を設定することです。MECEとは日本語に訳すと「漏れなく、ダブりなく」という意味です。選択式にするため、選択肢に抜け漏れがあってはいけません。定めた項目に対して、抜け漏れない選択肢を設けることが重要になります。

例えば弊社の場合は、下記のように項目および各項目における選択肢を定めています。

【顧客情報】
1.資本金
①500万円未満 ②500万〜1,000万円未満 ③1,000万〜5,000万円未満 ④5,000万〜1億円未満 ⑤1億〜10億円未満 ⑥10億〜50億円未満 ⑦50億円以上 ⑧不明
2.売上
①1億円未満 ②1億〜5億円未満 ③5億〜10億円未満 ④10億〜50億円未満 ⑤50億〜100億円未満 ⑥100億〜500億円未満 ⑦500億〜1,000億円未満 ⑧1,000億円以上 ⑨不明
3.従業員規模
①個人事業主 ②50名未満 ③50〜100名未満 ④100〜200名未満 ⑤200〜500名未満 ⑥500〜1,000名未満 ⑦1,000名以上 ⑧不明
4.創業年
※西暦を選択
5.上場市場
①東証一部 ②東証二部 ③JASDAQ ④東証マザーズ ⑤名古屋一部 ⑥名古屋二部 ⑦セントレックス ⑧札幌上場 ⑨アンビシャス ⑩福岡上場 ⑪未上場
6.業種
①コンサルタント ②IT関連 ③建設・不動産業 ④医療 ⑤福祉 ⑥製造業 ⑦士業 ⑧金融・保険業 ⑨学校・教育 ⑩人材 ⑪広告代理店 ⑫メディア・出版・デザイン ⑬卸売業 ⑭小売業 ⑮ホテル・レジャー・旅行 ⑯運輸業 ⑰一次産業(農業・漁業等) ⑱飲食 ⑲生活関連サービス業(理美容・ジム・エステ等) ⑳インフラ(電気・ガス・水道等) ㉑非営利団体 ㉒その他(BtoB) ㉓その他(BtoC)
7.予算金額
①100万円未満 ②100万〜200万円未満 ③200万〜500万円未満 ④500万〜1,000万円未満 ⑤1,000万円以上 ⑦予算有(金額不明) ⑧予算無
8.類似サービス利用有無
①有(現在利用) ②有(過去に利用) ③無
その他、企業名や住所、名刺交換者の氏名、アドレス、電話番号については直接入力

【営業活動(タスク)】
1.活動種別
①新規営業 ②継続営業 ③既存対応 ④その他
2.活動方法
①訪問 ②来社 ③ビデオ会議 ④電話 ⑤メール ⑥リストアップ ⑦その他営業活動した担当者が当日のうちに入力するルールにより、活動日についても登録

選択肢については、自社の今までの顧客情報の分析に基づき社内で議論して定めましょう。弊社例の業種のように、細かくなって構いません。重要なのは、蓄積されているデータを分析することで、売上を上げるために必要な要素を導き出せるか、になります。

選択肢をまとめ過ぎてしまうと詳細分析まで行うことができません。細かいデータをまとめることはできますが、その逆は困難です。いたずらに選択肢を細かくすることは必要ありませんが、詳細分析することを見据えた選択肢の選定が重要なのです。

ちなみに選択肢「不明」については極力選択しないよう、営業時には必ずヒアリングするようにしています。

3.各データの入力プロセス・役割を決める

項目および入力するデータ(選択肢)を定めたら、最後はそのデータの入力プロセスと役割を決めます。

基本的に営業活動を行っている営業担当者自身が入力していくことになります。

ポイントとしては、

  1. その日のうちに入力する
  2. 必須項目への入力は徹底する(出来れば評価にも紐づける)
  3. 蓄積されているデータをもとに可視化する
①その日のうちに入力する

データはリアルタイム性が重要です。営業活動(タスク)の入力はその日のうちに行うことをルール化しましょう。

日報を作成している企業も多いと思いますが、この営業活動の入力を日報としても活用することで、業務負荷を増やすことなくデータを蓄積することができます。

② 必須項目への入力は徹底する(出来れば評価にも紐づける)

データ入力は営業活動の効率性・生産性を高めるために必要不可欠な業務であることを会社全体の共通認識として持つことが重要です。

合せてデータ入力が個々人の評価にも関係するルールとすることで徹底度合いは上がるでしょう。

③蓄積されているデータをもとに可視化する

一方で営業担当者個々人がデータ入力を徹底する意味をしっかりと理解することが必要です。そのためには蓄積されているデータをもとにその結果を週次や月次で定期的に可視化することや、分析結果をもとに今後の営業活動への改善施策へと繋げることが重要となります。

また、営業活動以外の情報登録については、専門の担当を付けることも重要です。

例えば弊社では、毎週名刺を集め、見込み客として入力する専門チームがあります。そのチームは定期的に顧客情報をメンテナンスする役割も担っています。

企業にとって、顧客情報が最も重要な資産となるため、この資産の質を担保することはとても重要です。

データを軸としたあるべき組織体制

データ活用において、次にお伝えしたいのは、データを軸としたあるべき組織体制についてです。

特に大企業に多いのですが、複数部署が存在し、その部署ごとにシステムやツールを導入していることもあり、データの蓄積はもちろん、データ分析、その先の施策の実行などが部署ごとに実行されているケースが多いです。

この場合、部分最適にはなれど、会社の全体最適を求めることは困難です。

また、データを分析する部隊と施策を実行する部隊が同一ですと、どうしても自分(自部署)にとって都合の良いデータの活用をしてしまいがちです。

本来あるべきなのは、部署ごとにデータを蓄積するのはシステム上変えることはできませんが、それを集約して分析・可視化する専門の部署が必要となります。データを横ぐしで分析する役割を担うのです。その部署が実際に業務を行う各部署へ必要なデータを展開し、それを受け取った各部署がデータをもとに施策を考え実行していきます。

以前コンサルティングをしていた売上数百億円規模の電化製品メーカーでは、下の図の左側のように、各部署ごとにデータが蓄積されており、それを部署の中で分析して施策に落し込んでいました。

データを軸としたあるべき組織体制

しかし、売上成長性が鈍化してきたのをきっかけに、データ活用の必要性を認識し、それを全社的にどう仕組化して運用していくのかを考えていきました。

実施内容としては、

  1. 各部署の目的と責任を再定義
  2. 業務フローの見える化
  3. 各部署のKGI・KPIの設定
  4. 各部署で見るべき帳票類と会議体の設定

です。

1.各部署の目的と責任を再定義

そもそもデータ活用するに当ってのスタートラインは、「目的の明確化」になります。各部署の目的と責任を改めて定義して、それぞれ何を目指すのかを共通認識としました。

業務フローの整理イメージ

2.業務フローの見える化

データを活用して全体最適を目指すに当り、各部署がどのように連携しているのかを把握する必要があります。

それぞれの部署がどのような業務を行っており、そこにどんなデータが蓄積されているのかの全体像を確認することが重要です。

3.各部署のKGI・KPIの設定

業務フローを整理した上で、各部署のKGIおよびKPIを設定します。

目指すべき指標が明確にならない限りデータ活用は出来ません。

4.各部署で見るべき帳票類と会議体の設定

KGI、KPIに基づき可視化すべきデータを設定します。

また、可視化されたデータに基づき、全部署連携や各部署での会議体についても再設定します。

データに基づき、どう全社的に戦略・施策に落し込んでいくのかが重要です。

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