「2店舗目を出したいけど、自分がいないと店が回らない」と感じていませんか?
1店舗目の経営は安定してきた。でも、次の一手に踏み出せない。そんな悩みを抱えるオーナーは少なくありません。
この記事では、以下のポイントを詳しく解説します。
- 多店舗展開のメリット・デメリットとリスク対策
- 1店舗から3店舗へ拡大するための具体的なロードマップ
- 資金調達の方法と初期費用を抑えるコツ
「店舗を増やしたい」という漠然とした気持ちを、現実的なロードマップに変えましょう。
目次
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美容室の多店舗展開とは?拡大がもたらすメリット
売上・利益の増加とオーナーの年収アップ
多店舗展開の最大の魅力は、収益体質が根本から変わることです。
1店舗経営では、オーナー自身が現場に立つことで売上を支えるケースが多くなります。しかし店舗数が増えると、自分が働かなくても収益が入る仕組みが生まれます。
特に3店舗目が軌道に乗った段階では、加速度的に利益率が改善する傾向があります。1店舗目・2店舗目で培ったノウハウや仕入れルートをそのまま活かせるため、3店舗目の立ち上がりコストが相対的に下がるからです。
オーナーの年収アップは、こうした収益構造の変化がもたらす結果です。
優秀な人材の確保とスタッフの労働環境改善
「優秀なスタッフほど独立してしまう」という悩みは、多くのオーナーが口にします。
店舗数が増えることで、スタッフにとってのキャリアパスが広がります。アシスタントからスタイリスト、店長、エリアマネージャーへと成長できる道筋が生まれるため、優秀な人材が社内に残りやすくなります。
また、複数店舗があることで、スタッフの引越しやライフスタイルの変化にも柔軟に対応できます。「結婚して引越したから辞めなければならない」という離職を防げることも、大きなメリットです。
経営リスクの分散と仕入れコストの削減
1店舗だけで経営していると、その店舗の売上が落ち込んだときに即座に経営危機へとつながります。複数の店舗があれば、1店舗が不調でも他の店舗でカバーできるリスク分散の効果があります。
さらに、シャンプーやトリートメントなどの商材をまとめて仕入れることで、仕入れコスト削減の効果も生まれます。利益率の改善に直結する、見落とされがちな効果です。
知っておくべき多店舗展開のデメリットとリスク
固定費の増加と資金繰りの悪化リスク
多店舗展開には当然、コストが伴います。家賃・人件費・光熱費といった固定費が増加し、開業から売上が安定するまでの間、資金繰りが厳しくなるケースがあります。
目安として、新規出店には約1,000万円程度の初期費用がかかります(内装・設備・広告費を含む)。この投資の回収には平均で2〜3年かかることも多く、その間の資金繰り管理が重要です。
「勢いで2店舗目を出したら、1店舗目の利益を全部使ってしまった」という失敗を防ぐためにも、財務計画をしっかり立てることが不可欠です。
人材管理の難しさとサービス品質の維持
店舗数が増えると、オーナーの目が届かない場所が生まれます。スタッフ管理の難しさと、店舗間でのサービス品質のバラつきは、多店舗展開における最大のリスクの一つです。
特にSNS時代においては、1つの店舗でのクレームや不祥事が即座に拡散し、ブランド全体の信頼を傷つける可能性があります。リスクマネジメントの視点から、マニュアル整備と教育体制の構築は早めに着手することをおすすめします。
1店舗から3店舗へ!多店舗展開を成功させるロードマップ

【STEP1】1店舗目の経営安定と出店のタイミング
多店舗展開を始める最適なタイミングは、1店舗目が安定して黒字化していることが前提です。
目安として、以下の3つの条件が揃ってから動き始めることをおすすめします。
- 月次で安定した黒字が12か月以上継続している
- 運転資金として6か月分の固定費を手元に確保できている
- オーナーがいなくても店舗が1週間程度回せる体制がある
「売上が良いうちに次を出す」という判断は正しいですが、資金的な余裕がない状態での拡大は危険です。1店舗目の経営安定を確認してから、次のステップへ進みましょう。
【STEP2】2店舗目の壁と「右腕」となる店長の育成
2店舗目まではオーナーの影響力でカバーできることが多いです。しかし、必ずぶつかる壁があります。それが「店長(右腕)の不在」です。
自分の代わりに店舗を任せられる人材がいないと、2店舗目を出した途端にオーナーが分身しなければならない状態に陥ります。これでは経営の自由度が下がるだけです。
店長育成のポイントは、技術力だけでなく「経営者視点」を持たせることです。売上・稼働率・人時生産性といった数字をスタッフが自ら確認し、改善策を考えられるようにする教育が重要です。オーナーと真逆の方向に進まないよう、価値観の共有を徹底しましょう。
【STEP3】3店舗目の最大の壁!「求人・育成・財務」の課題
3店舗目は多店舗展開における最大の壁です。この段階では、オーナーの目が届かない部分が急増します。
最も大きな課題は求人です。店舗を増やすにはスタッフが必要ですが、美容師の人手不足は深刻です。求人に苦労して出店が遅れるケースは非常に多く見られます。
あわせて、組織体制の整備も必要になります。エリアマネージャーや副店長といった中間マネジメント層を配置することで、オーナー不在でも組織が機能する体制を作ることが求められます。
さらに、3店舗目では財務知識が経営を左右します。複数店舗の損益を管理し、どの店舗が利益を出しているかを正確に把握するスキルが、オーナーには不可欠です。
美容室の多店舗展開に必要な資金の目安と調達方法
新規出店にかかる初期費用の目安
美容室の新規出店には、一般的に以下の費用がかかります。
| 費用項目 | 目安金額 |
| 内装工事費 | 500〜700万円 |
| 設備・什器費 | 100〜200万円 |
| POSシステム導入費 | 20〜50万円 |
| 広告・販促費(開業時) | 50〜100万円 |
| 運転資金(3か月分) | 100〜200万円 |
| 合計 | 約800〜1,250万円 |
立地や規模によって大きく変わりますが、概ね1,000万円前後を見込んでおくと安全です。
出典:日本政策金融公庫「創業の手引き+(美容)2406版」
中小企業庁 J-Net21「美容室 起業支援」
資金調達のコツと初期費用を抑える工夫
資金調達の主な選択肢は、日本政策金融公庫や民間金融機関からの融資です。1店舗目の黒字実績と事業計画書の質が、融資審査を左右します。
また、初期費用を抑えるための工夫として、設備・什器のリース活用があります。購入すれば数百万円かかる設備を、月々定額のランニングコストに変えることで、開業時の資金負担を大幅に軽減できます。初期費用を抑えることで、資金繰りの安定と次の出店機会の確保につながります。
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多店舗展開を成功に導く具体的な秘訣
オーナー不在でも回る「仕組み化」と業務の標準化
多店舗展開に成功しているサロンに共通するのは、「仕組み化」が徹底されていることです。
具体的には、施術マニュアル・接客マニュアル・クレーム対応マニュアルを整備し、どの店舗でも均一なサービスが提供できる状態を作ります。スタッフが入れ替わっても品質が落ちない仕組みがあれば、多店舗経営の安定性は大きく向上します。
ターゲットに合わせた立地選びとマーケティング戦略
1店舗目で成功したマーケティング手法が、2店舗目以降にそのまま通用するとは限りません。
新しい店舗を出す際は、その立地のターゲット層を改めて分析することが重要です。駅前と住宅街では客層が異なり、訴求すべきメニューや集客チャネルも変わります。5W1H(誰に・何を・いつ・どこで・なぜ・どのように)を出店ごとに再設計する習慣を持ちましょう。
多店舗管理システム(POSレジ等)の活用による効率化
複数店舗を経営するなら、クラウド型のPOSシステム導入は必須です。
複数店舗の予約状況・顧客データ・売上・シフトをリアルタイムで一元管理できる環境があれば、オーナーはどこにいても経営状況を把握できます。来店サイクルやリピート率・指名率といった重要指標を数値で追えることで、経営判断の精度が格段に上がります。
美容室を多店舗展開する3つの方法
直営・のれん分け・フランチャイズの比較と選び方
多店舗展開には3つの主な方法があります。それぞれのメリット・デメリットを整理しましょう。
| 方法 | メリット | デメリット |
| 直営 | 収益性が高い/ブランドを完全コントロール | 全リスクをオーナーが負う/人材・資金の負担大 |
| のれん分け | スタッフの独立支援になる/初期投資を抑えられる | 収益性が下がる/品質管理が難しくなる |
| フランチャイズ | 本部のブランド力・サポートを活用できる | ロイヤリティが発生する/自由度が制限される |
自社のフェーズや目指す経営スタイルに合わせて選択することが大切です。2店舗目は直営で進め、軌道に乗ってからのれん分けを検討するというステップも有効な選択肢の一つです。
まとめ
美容室の多店舗展開を成功させるためのポイントを振り返りましょう。
- 1店舗目の黒字安定が大前提。 資金に余裕ができてから動く
- 2店舗目の成功のカギは店長育成。 右腕となる人材をいかに育てるかが分かれ目
- 3店舗目では求人・組織・財務の3つの壁に備える
- 初期費用は約1,000万円を目安に、リース活用で負担を軽減する
- 仕組み化とPOSシステムでオーナー不在でも回る体制を作る
「いつかは多店舗展開を」と思っていたオーナーも、まずは今の1店舗目を「自分がいなくても1週間回せる状態」にすることから始めてみてください。それが、次の店舗への最初の一歩です。
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慶応義塾大学理工学部卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。主に中堅規模(数百億)以上の企業をメインクライアントとしたプロジェクトに従事。化粧品メーカや卸・リテール業界など、幅広い業種において、中期経営計画策定やマーケティング戦略の構築、M&Aにおけるビジネスデューデリジェンス等の実績を有する。独立後も製造業や小売業、サービス業に至るまで大小様々な企業の課題発見に従事、成果を上げる。特にデータ分析においては、複数のコンサルファームにもアサインされる実力を有する。コンサルティングに加え、ヘアサロン2店舗と、まつげ・眉毛専門のアイサロン1店舗の運営、ならびに伝統工芸品の販売事業にも携わり、現場視点での売上づくりにも取り組んでいる。その他、AI関連スタートアップや教育関連企業からもデータ分析支援の依頼を数多く受けている。2013年9月にクロスメディア・パブリッシングより「問題解決のためのデータ分析」を出版(2019年2月に新装版を出版)。教育プラットフォームUdemyで展開しているオンライン講座(「ビジネスの現場で使えるデータ分析」、他)の受講者数は4万人(2024年2月現在)を超える。2020年10月KUROCO株式会社を設立、現在に至る。
東亜大学芸術学部トータルビューティ学科非常勤講師。
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