「スタッフは忙しく働いているのに、売上が伸びない」
「人件費が高騰しているが、どこを改善すればいいか分からない」
こうした悩みを抱える美容室のオーナーは少なくありません。そこで注目すべき指標が「人時生産性」です。
目次
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人時生産性とは
人時生産性は、スタッフ1人が1時間あたりに生み出した成果を数字にしたものです。美容室の場合、経営に使いやすいのは「粗利(売上から材料などの変動費を引いたもの)」を使う考え方です。
売上だけを見ると、売上は増えているのに材料費も増えて、結局残るお金はあまり変わらない、ということが起きます。だから、利益に近い「粗利」をベースにすると、打ち手を間違えにくくなります。

計算式
人時生産性= 粗利 ÷ 総労働時間(人時)
粗利は、一般的には「売上 − 材料費(必要に応じて外注費なども含む)」です。
総労働時間(人時)は「スタッフ全員の労働時間の合計」です。たとえば、スタッフ4人がそれぞれ月160時間働いたなら、4×160=640人時になります。
計算例
たとえば、月の売上が230万円、材料などの変動費が50万円だったとします。この場合の粗利は180万円です。スタッフ4人がそれぞれ月160時間働いたなら、総労働時間は640人時です。
人時生産性=180万円 ÷ 640時間=2,813円
人時生産性を測るべき理由
人時生産性は、美容室経営において最も重要な指標の一つです。
単に「忙しい」「暇だ」という感覚ではなく、数字で効率性を可視化できます。
人件費は美容サロンの経営コストの大部分を占めます。人時生産性を把握することで、適正な人員配置ができ、無駄な人件費を削減できます。
また、スタッフごとの人時生産性を比較することで、誰がどれだけ効率的に働いているかが明確になり、公平な評価につながります。
さらに、人時生産性が低い時間帯や曜日を特定すれば、予約の入れ方やシフトの組み方を見直すきっかけになります。数字で状況を把握することで、勘に頼らない経営判断が可能になるのです。
美容室の人時生産性の平均
美容室の人時生産性は、業態や立地によって異なりますが、一般的には1,500〜2,500円程度が平均的な水準とされています。
ただし、この数値はあくまで目安です。
大切なのは、業界平均と単純に比べることだけではなく、まず自店の人時生産性を正しく把握することです。
自店の数値を把握したうえで、同じ業態・近い価格帯のサロンや過去の自店実績と比較すると、改善余地の有無や、どこに課題があるかを判断しやすくなります。
人時生産性が低い原因
人時生産性が低い場合、いくつかの原因が考えられます。
まず、予約の入れ方に問題があるケースです。予約と予約の間に無駄な時間が多い、あるいは特定の時間帯に予約が集中しすぎている場合、スタッフの稼働効率が下がります。
次に、客単価が低い場合です。いくら多くのお客様を施術しても、1人あたりの単価が低ければ人時生産性は上がりません。メニュー構成やオプション提案の見直しが必要です。
また、スタッフのスキル不足も原因の一つです。施術スピードが遅い、カウンセリングに時間がかかりすぎる、といった問題があれば、当然ながら生産性は下がります。
最後に、店販やオプションメニューの販売不足も見逃せません。技術売上だけでは限界があるため、店販売上やオプション売上を増やすことが重要です。
人時生産性を上げる5つの方法

予約管理の最適化
予約と予約の間の空き時間を最小化し、スタッフの稼働率を高めましょう。予約システムを活用して、時間帯ごとの予約状況を可視化し、適切な予約配分を行います。
客単価の向上
メニューのセット化、オプションメニューの提案強化、店販売上の拡大により、1人あたりの売上を引き上げます。カウンセリング力を磨き、お客様のニーズに合った提案を行うことが重要です。
スタッフのスキルアップ
施術スピードを上げるためのトレーニングを実施します。ただし、スピードだけを追求して品質が下がらないよう注意が必要です。効率的な施術手順を標準化し、全スタッフで共有することで、全体の生産性を底上げできます。
シフト管理の見直し
人時生産性が低い時間帯のスタッフ数を減らし、高い時間帯に人員を集中させます。週次や月次でデータを分析し、最適なシフト配置を見つけましょう。
店販・オプション販売の強化
技術売上だけでなく、店販売上やオプションメニューの売上を増やすことで、同じ時間でより多くの売上を生み出せます。スタッフ全員が提案力を持つよう、定期的な研修を行いましょう。
人時生産性を管理する際のポイント
人時生産性は重要な指標ですが、数字だけを追いかけすぎると弊害が生じます。
まず、品質を犠牲にしないことが大前提です。施術スピードを上げるあまり、仕上がりの質が下がってしまえば、リピート率が低下し、長期的には売上が減少します。
また、スタッフへの過度なプレッシャーは避けるべきです。人時生産性を個人の評価に直結させすぎると、スタッフは数字に追われてストレスを感じ、離職につながる可能性があります。
人時生産性はあくまで「改善のための指標」として活用し、スタッフと一緒に「どうすればもっと効率的に働けるか」を考えるツールとして使いましょう。
まとめ
美容室の人時生産性は、経営効率を測る重要な指標です。
人時生産性を向上させるには、予約管理の最適化、客単価の向上、スタッフのスキルアップ、シフト管理の見直し、店販・オプション販売の強化が有効です。ただし、数字だけを追うのではなく、品質とスタッフの働きやすさを保ちながら改善することが重要です。
データ分析と数字の可視化により、勘や経験に頼らない再現性の高いマネジメントが実現できます。
KUROCOでは美容サロン向けに、データを活用した実践的なサポートを提供しています。
「スタッフが定着しない」「集客が安定しない」といったお悩みがある方は、ぜひ一度ご相談ください。

慶応義塾大学理工学部卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。主に中堅規模(数百億)以上の企業をメインクライアントとしたプロジェクトに従事。化粧品メーカや卸・リテール業界など、幅広い業種において、中期経営計画策定やマーケティング戦略の構築、M&Aにおけるビジネスデューデリジェンス等の実績を有する。独立後も製造業や小売業、サービス業に至るまで大小様々な企業の課題発見に従事、成果を上げる。特にデータ分析においては、複数のコンサルファームにもアサインされる実力を有する。コンサルティングに加え、ヘアサロン2店舗と、まつげ・眉毛専門のアイサロン1店舗の運営、ならびに伝統工芸品の販売事業にも携わり、現場視点での売上づくりにも取り組んでいる。その他、AI関連スタートアップや教育関連企業からもデータ分析支援の依頼を数多く受けている。2013年9月にクロスメディア・パブリッシングより「問題解決のためのデータ分析」を出版(2019年2月に新装版を出版)。教育プラットフォームUdemyで展開しているオンライン講座(「ビジネスの現場で使えるデータ分析」、他)の受講者数は4万人(2024年2月現在)を超える。2020年10月KUROCO株式会社を設立、現在に至る。
東亜大学芸術学部トータルビューティ学科非常勤講師。
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