業務効率化の手段として注目されたIT導入も、今では単なる改善にとどまらず、変革まで求められています。
その改革に伴って注目されているのが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。
本記事では、DXの本質から具体的なメリット、推進指標、よくある課題とその克服法まで解説します。
「何から始めるべきか分からない」という担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
DX推進とは
DX推進とは、単にITツールを導入することではありません。
企業がIT技術を活用し、業務やビジネスモデルだけでなく、組織そのものを根本から変革する取り組みを指します。
具体的には、顧客体験の向上や競争力の強化から新しい価値の創出を実現するのがDX推進です。

なぜ今、DX推進が求められるのか?
以前までの企業の成長戦略は、設備投資や人材確保による規模の拡大が主流でした。
しかし現在は、人口減少・人材不足の深刻化によって、労働力確保が困難となり、生産性に焦点が当てられる場面が多くなってきています。
また、気候変動やパンデミック・世界経済などの影響によって、市場が不安定かつすぐに流れが変わるため、素早い意思決定が求められます。
こうした状況に対応するには、単なる業務改善では不十分なため、経営基盤そのものを変革する、DX推進が求められています。
DX推進によるメリット
DXを推進することによる主なメリットは3つあります。
1つ目は業務効率化です。
AIやRPAを活用した自動化、データ分析などによって、重複業務を解消するとともに、作業時間を圧縮できます。
たとえば、受発注業務の自動処理や、経費精算の電子化など、現場負担を大幅に軽減できるでしょう。
2つ目は売上向上です。
顧客データの蓄積・分析を自動化することで、購買行動の傾向を把握でき、顧客ごとにパーソナライズされた提案が可能になります。
また、MAツールの活用やECプラットフォームを強化することで、オンライン・オフラインを問わず売上機会を最大化でき売上向上につながります。
3つ目は競争力強化です。
DXを推進することで、既存事業をステップアップさせるだけでなく、新たなビジネスモデルを作れる可能性があり、市場での差別化がはかれます。
たとえば、BtoBからD2Cへの展開など、これまでとは違う領域でビジネスチャンスを創出できるでしょう。
DX推進指標
経済産業省は、DXの成熟度を客観的に評価するため、以下2つの推進指標を提示しています。
- DX推進の枠組みに関する定性指標
- ITシステム構築の枠組みに関する定性指標
【DX推進の枠組みに関する定性指標】
この定性指標では、企業がいかに全社的にDXを進める体制を整えているかを評価する項目が定められています。
- ビジョン:社内外でビジョンを共有できているか
- 経営トップのコミットメント:経営改革に伴う見直しが経営者のリーダーシップの下、明確化され実践できているか
- 仕組み:マインドセットや企業文化・サポート体制・人材育成など
- 事業への落とし込み:経営者自らがリーダーシップを発揮して取り組めているか
【ITシステム構築の枠組みに関する定性指標】
この定性指標では、技術的な側面から、変革に対してのIT基盤が整っているかを評価する項目が定められています。
- ビジョン実現の基盤としてのITシステムの構築:変革に対して見直しが必要な点が認識できているか、対応策がしっかりと講じられているか
- ガバナンス・体制:技術的負債を低減しつつ、資金・人材を必要な領域に重点的に配分できているか
定性指標を使って自己診断していく中で、DX推進に対する全社的な理解度を上げ、認識を共有し、具体的なアクションにつなげていきましょう。
参考:経済産業省「DX推進指標」
DX推進におけるよくある課題
DX推進においてよくある課題を3つ紹介します。
- DX人材の不足
- 既存システムとの統合
- DXの目的不明確による失敗
多くの企業が躓くポイントを知っておきましょう。
DX人材の不足
社内にデジタル人材が不在している、特定の部門にIT関連の業務が集中しすぎているなどの理由から、全社展開が困難になるケースが多いです。
このようなケースにおいては、外部人材の登用や、非IT職へのリスキリングが必要になります。
デジタルリテラシーの向上が不可欠で現場の理解が浅いと、システム導入後に活用できず投資が無駄になるリスクも出てきます。
既存システムとの統合
古い業務システム(レガシーシステム)で構築されており、新しいサービスとの連携で難航するケースも多く見られます。
このようなケースでは、データ構造を再設計するとともに、古いシステムに依存しないよう、定期的なシステム更新が求められます。
また、レガシーシステムが持つ課題を明確化するとともに、新しいサービスの選定段階では、互換性なども考慮する必要があるでしょう。
DXの目的不明確による失敗
「とりあえずツールを導入」「業務をクラウド化すればDX」といった本来の目的がどこにあるか明確でないDX推進は失敗する可能性が高いです。
目的が曖昧なまま進めると、コストだけが膨らみ、社内のDXアレルギーを助長する可能性もあります。
なんのためにDXを進めるのかを明確にした上で、必要なITツールなどを導入していきましょう。
DX推進成功のポイント
DX推進を成功させるポイントを3つ紹介します。
- 経営層のリーダーシップ
- スモールスタート
- 目的の明確化
それぞれ詳しくみていきましょう。
経営層のリーダーシップ
DX推進では業務単位での改善ではなく、全社的な経営改革が必要です。
そのため、経営層のコミットメントとリーダーシップが何よりも重要です。
ミッション・ビジョンの明文化し、トップダウンでDXを推進していきましょう。
スモールスタート
最初から全社的に大規模改革を進めるのではなく、影響範囲の小さい部分から実施し、効果を数値化することで社内の理解と期待感を育てていきましょう。
必ず現場の抵抗は出てくるため、小さな成功体験を積み重ねることで、DX推進の取り組みや重要性を社内に浸透させていくことが大切です。
目的の明確化
業績向上や顧客体験の最適化、業務の標準化など、明確なゴールを設定し、それをもとにロードマップとKPIを設計することが大切です。
DX化を滞りなく進めていくだけでなく、無駄な投資を避ける意味でも目的の明確化は最初に行いましょう。

まとめ
DXの本質は、単なるツール導入ではなく、企業体質やビジネスモデルを根本から変革する点にあります。
成功には、現場ではなく経営主導の取り組みと、目的に向けた一貫性が欠かせません。
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